1)新しい電極による検討:従来の電極に対して、人に優しく不快感を与えず、介護者が簡単に装着固定でき、かつ再現性のよい新しい電極の検討を行い、簡単に装着できて、皮膚との接触面が均一で安定する繊維式電極を試作した。再現性、安定性、装着性ともに極めて良いことが分かった。 2)最適な検出電極位置の検討:超音波装置との同時計測により、膀胱の膨張特性と電極の各装置位置からのインピダンス変化を検討し、ほぼ性差なく測定できる位置を確認した。電流電極は両大腿基部、検出電極は腹部膀胱上部であった。 3)呼吸性変動による検出方法の検討:膀胱内容量の増加に対する呼吸にともなう振幅値の変動分(ACDELTAZ)を測定し、排尿時期を従来の基底インピダンス値(Z_0)、定常インピダンスの変動分(DCDELTAZ)のみの判断だけではなく、一歩進んだ複合型として採用し、信頼性の向上を試み、排尿時期の検討を行い、自然貯尿実験では、貯尿開始から呼吸振幅値が次第に小さくなり、排尿直前に最も小さく排尿後は開始時と比較してほぼ元に戻った。このように呼吸振幅変化は貯尿の状態の関係をよく反映していた。 4)アラームレベルの検討:寝た状態の貯尿量をモニターするため、膀胱内圧検査と同時測定して、その排尿時期の状態と被検者からの意思表示とから、その予知の可能性の検討を行い、またインピダンス変化からアラームレベルを決める上で個人差をなくすためにインピダンス変化の最大排尿意レベルを改めて100%とするインピダンス変化率として換算し、そのインピダンス変化率の60〜70%の範囲でアラームレベルを設定することにより、事前に失禁を防げることが予想でき、排尿予知の可能性が示唆された。
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