研究課題
まず診断精度の向上に関しては、多嚢胞卵巣症候群(PCOS)患者について各種の臨床症状の発現率と、本邦婦人PCO患者での内分泌的特徴、さらに超音波画像診断での陽性所見率などの特徴を把握し、PCOSの診断基準の設定と、各種ホルモン動態と臨床症状の関係を明らかにすることを目標にして研究を遂行した。その結果から、PCOSの診断基準として(1)月経異常、(2)LH値が高値かつFSH値が正常値、さらに(3)超音波診断により卵巣に嚢胞状変化を認める、の3項目を満たす症例をPCOSと診断するのが適当と考えられ、一応の診断基準を設定した。またアンドロステンジオンやテストステロンなどのアンドロゲン系の性ステロイドホルモンも比較的陽性率が高かった。しかし、各種性ステロイドホルモン測定には測定系の問題があり、現段階では診断基準に盛り込むよりも参考所見とすることが妥当と考えられた。そこでPCOSの治療法の検討においては、3項目を満たす症例を対象とすることとした。一方、治療においては、従来のhMG製剤を用いたゴナドトロピン療法、pure FSH製剤によるゴナドトロピン療法、pure FSHとGnRHアゴニスト併用療法について、症例ごとに治療法を選択して実施し、治療成績の蓄積を行った。その結果は次年度に集計するが、PCOS治療の問題点のひとつである副作用としての卵巣過剰刺激症候群はGnRHアゴニスト併用療法で比較的軽度になることが期待されている。
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