1993 年度実績報告書

ミューラー氏管由来性器における糖脂質の解析-細胞外マトリックスとの関連を含めて-

研究課題

研究課題/領域番号	04454424
研究機関	慶応義塾大学
研究代表者	野澤志朗慶應義塾大学, 医学部, 教授 (90051557)
研究分担者	亀井一彦慶應義塾大学, 医学部, 助手 (40224688) 塚崎克己慶應義塾大学, 医学部, 講師 (40118972)
キーワード	子宮内膜 / 卵管 / 糖脂質 / 細胞外マトリックス / スルファチド / MSN-1 / 子宮体癌 / 酵素免疫測定法
研究概要	子宮内膜や卵管の糖脂質分析を行い、また糖脂質と細胞外マトリックスとの関連について解析することにより、複合糖質の観点から受精、子宮内膜における卵の着床あるいは子宮体癌の増殖、転移などのメカニズムを明らかにし、さらに体癌の新たな診断法の開発を試みることを本研究の目的とし、平成5年度は以下の知見が得られた。1.子宮体内膜の糖脂質と細胞外マトリックスの分析:ラミニンは基底膜タンパクの一つであり、スルファチドと結合能が高いことが指摘され、これが細胞相互の接着に重要な役割を担っていることが示唆されている。正常体内膜では、分泌期では増殖期に比べスルファチドが著明に増量することを既に明らかにしているので、子宮内膜においてもスルファチドとラミニンの相互作用があるか否かを明らかにするために体内膜におけるラミニンの発現量を測定した。その結果、ラミニンはスルファチドと同様に増殖期から分泌期になると増加することが判明した。さらに、子宮内膜より精製、分離したスルファチドに対するアフィニティーカラムを新たに作製し、スルファチド結合性タンパクの精製を試みつつある。2.体癌の新たな診断法の開発:独自に開発したモノクローナル抗体MSN-1は、主に細胞表面の糖脂質上の糖鎖(Lewis^b形糖鎖)を認識し、免疫組織化学的検索により体癌の90%以上と反応することを既に報告してきた。そこでMSN-1を用い新たに酵素免疫測定法(EmC-EIA法)を開発し、体癌の新たな診断法としての有用性を検討した。その結果、正常体内膜における陽性率は5.7%、内膜増殖症では20.0%、体癌では77.3%であった。また、本法と日常臨床で行われている細胞診を組み合わせることにより、細胞診で診断に苦慮する場合が少なくない高分化型体癌の陽性率は80.5%に上昇し、細胞診の単独の陽性率57.9%を上回った。従って、EmC-EIA法は体癌の補助診断法の一つとして有用となる可能性が示された。

研究成果

(8件)

すべてその他

すべて文献書誌 (8件)

[文献書誌] Mikio Mikami: "Menstrual cycle-associated expression of 2-hydroxy fatty acyl phytosphingosine-containing GlcCer,LacCer and Gb_3Cer in human uterine endometrium" Bioch.Biophys.Acta. 1125. 104-109 (1992)
[文献書誌] 塚崎克己: "FCMを用いる抗子宮体癌モノクローナル抗体による子宮体癌補助診断法の開発" 日本臨床. 50. 192-199 (1992)
[文献書誌] Kiyoshi Takamatsu: "Structural characteristics of the ceramides of neutral glycosphingolipids in the human female genital tract" Bioch.Biophys.Acta. 1165. 177-182 (1992)
[文献書誌] 野澤志朗: "子宮体癌とモノクローナル抗体-抗子宮体癌モノクローナル抗体“MSN-1"とそのEmC-EIA法への応用-" 臨床病理,臨時増刊. 第94号. 147-160 (1993)
[文献書誌] Nobuyuki Susumu: "Subcellular localization of blood group Le^b carbohydrate antigen(MSN-1-reactive antigen)in endometrial cancer cells" Cancer Res.53. 3643-3648 (1993)
[文献書誌] Kiyoshi Takamatsu: "Luteal phase-characteristic induction of I^3SO_3-GalCer in human cervical epithelia and uterine endometria,and follicular phase-characteristic formation of a gradient of ganglioside-derived negative charge in the different regions of fallopian tube" Bioch.Biophys.Acta. 1170. 232-236 (1993)
[文献書誌] 塚崎克己: "子宮体部" 森脇昭介,杉森甫, 188 (1993)
[文献書誌] 野澤志朗: "グリコパソロジー" 箱守仙一郎,永井克孝、木幡陽, 310 (1993)

1993 年度 実績報告書

ミューラー氏管由来性器における糖脂質の解析-細胞外マトリックスとの関連を含めて-

研究代表者

野澤 志朗 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (90051557)

研究成果

[文献書誌] Mikio Mikami: "Menstrual cycle-associated expression of 2-hydroxy fatty acyl phytosphingosine-containing GlcCer,LacCer and Gb_3Cer in human uterine endometrium" Bioch.Biophys.Acta. 1125. 104-109 (1992)

[文献書誌] 塚崎克己: "FCMを用いる抗子宮体癌モノクローナル抗体による子宮体癌補助診断法の開発" 日本臨床. 50. 192-199 (1992)

[文献書誌] Kiyoshi Takamatsu: "Structural characteristics of the ceramides of neutral glycosphingolipids in the human female genital tract" Bioch.Biophys.Acta. 1165. 177-182 (1992)

[文献書誌] 野澤志朗: "子宮体癌とモノクローナル抗体-抗子宮体癌モノクローナル抗体“MSN-1"とそのEmC-EIA法への応用-" 臨床病理,臨時増刊. 第94号. 147-160 (1993)

[文献書誌] Nobuyuki Susumu: "Subcellular localization of blood group Le^b carbohydrate antigen(MSN-1-reactive antigen)in endometrial cancer cells" Cancer Res.53. 3643-3648 (1993)

[文献書誌] 塚崎克己: "子宮体部" 森脇昭介,杉森 甫, 188 (1993)

[文献書誌] 野澤志朗: "グリコパソロジー" 箱守仙一郎,永井克孝、木幡 陽, 310 (1993)

1993 年度実績報告書

野澤志朗慶應義塾大学, 医学部, 教授 (90051557)

[文献書誌] 塚崎克己: "子宮体部" 森脇昭介,杉森甫, 188 (1993)

[文献書誌] 野澤志朗: "グリコパソロジー" 箱守仙一郎,永井克孝、木幡陽, 310 (1993)