研究課題/領域番号 |
04454427
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研究機関 | 兵庫医科大学 |
研究代表者 |
赤谷 昭子 兵庫医科大学, 医学部, 助手 (50212402)
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研究分担者 |
小森 慎二 兵庫医科大学, 医学部, 助手 (60195865)
香山 浩二 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (00068496)
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キーワード | ブタ卵透明帯 / 抗透明帯抗体 / 受精阻害 / 精子結合阻害 / 避妊ワクチン / リコンビナントワクチン / ブタpZP1遺伝子 / 卵透明帯エピトープ |
研究概要 |
哺乳動物の卵細胞を取り込囲む細胞間マトリックスの一種の透明帯には、強い抗体産生能があり、産生された抗体は受精を強く阻害する。これを基礎に、ヒト透明帯と共通な抗原物質を含むブタ透明帯を用い、避妊ワクチンに応用する研究を行った。 本年度はpZP4を精製し、エドマン分解法とペプチドマッピング法を応用して、pZP4の骨格蛋白質の配列を決定した。またオリゴヌクレオチドを合成してPCR(Polymerase chain reaction)法により、cDNAをクローニングした。このcDNAを用い、受精阻害モノクローナル抗体(MAb‐5H4)のエピトープマッピングを行った。次に化学合成したオリゴペプチドを用い、MAb‐5H4のエピトープ配列がpZP4蛋白質のNH2末端から50〜59番のCys‐Thr‐Val‐Tyr‐Leu‐Asp‐Pro‐Glu‐Asn‐Leuの10個のアミノ酸であることを証明した。これは受精現象の解明と避妊ワクチンの開発に応用できる発見である。 一方、クローニングしたcDNAはpZP4のみならずpZP2もその下流にコードしており、これら2つの蛋白質は共通のparent蛋白質〔pZP1〕から分離することが、遺伝子の上から明らかになった。 クローニングしたcDNA〔pZP1(1‐198)〕を発現ベクターに組み込み、リコンビナント蛋白質r‐pZP1(1‐198)を作成し、ウサギに免疫した。4匹すべてのウサギに、r‐pZP1(1‐198)蛋白質のみならず天然の透明帯(ブタ、ウサギ、ヒト)とも反応する抗体が産生された。また、これらのウサギは妊孕能力のある雄との交配によって妊娠せず、用いたリコンビナント蛋白質に避妊効果が認められた。しかし、免役したウサギには、血中エストロゲンの低下や、発育卵胞の減少が観察された。安全で効果的な避妊ワクチンの開発には、別のドメインも検討する必要がある。また異る動物種を用いた検討も必要である。遺伝子組換え技術を応用することにより、ドメインレベルの研究と、抗原物質の安定した供給が可能であるので、今後さらに透明帯抗原を避妊ワクチンに応用する研究を押し進める。
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