研究課題/領域番号 |
04454429
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
柳田 則之 名古屋大学, 医学部, 教授 (00023804)
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研究分担者 |
福田 成司 名古屋大学, 医学部, 講師 (90252246)
植田 広海 名古屋大学, 医学部, 講師 (20213358)
中島 務 名古屋大学, 医学部, 助教授 (30180277)
高橋 秀世 名古屋大学, 医学部, 教授 (70023819)
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キーワード | 内耳気圧外傷 / 内耳窓膜の運動 / 中耳・内耳血流 / 含気蜂巣の発育 / 試験的鼓室開放術 / 内耳窓膜破裂 |
研究概要 |
本年度は最終年度であり、主として内耳気圧外傷の成因、治療について検討した。 1)中耳腔を陽圧にすると中耳腔は膨脹し、鼓膜は外耳道側へ動く。鼓膜、耳小骨連鎖と連動して卵円窓も中耳側へ動くが、正円窓は内耳側へ引張られる。中耳腔を陰圧にすると反対に鼓膜、卵円窓は内耳側へ動き、正円窓は中耳側へ膨脹がみられる。即ち、中耳腔内の圧変化により内耳液の波動が生じるが、陽圧、陰圧で方向が逆である。 2)中耳腔圧を耳管閉鎖圧より高圧に維持すると中耳血流は著明に減少するが、内耳血流は各部とも有意な変化はなかった。 3)内耳気圧外傷136例において中耳気圧外傷を伴っているものは約27%で少ない。 4)内耳気圧外傷で、早期に水平型、低温障害型を示すものでは、聴力回復の予後がよく突発性難聴と類似している。画像検査では含気蜂巣の発育状態は患側と健側で差はみられなかった。蝸牛小管径は患側の方がやや狭い傾向にあった。 5)試験的鼓室開放手術を聴力回復の良くないもの、めまいが持続するものについて13病日以後に16例施行した。正円窓膜破裂が5例、両窓膜破裂が1例みられたが、膜閉鎖を行っても聴力回復はそれ程良くならなかった。ただしめまいは回復する傾向がみられた。 6)長期経過観察を行ったが、症状が固定した後は注意して行えば、潜水や飛行機の登場は行っても良いと考える。 7)中耳気圧外傷は圧の直接の刺激による循環障害により起こる。一方、内耳気圧外傷は圧変動により内窓膜が運動し内耳液の圧波が生じることにより起こる。
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