研究概要 |
正常人眼線維柱組織をロビクリルK4Mに包埋し超薄切片を作り,17種のレクチンを用いてその結合性コロイド金で標識しその局在を電子顕微鏡を用いて観察し次の結果を得た。PHA-E_4,WGA,PNA,RCA120,ConA,DSA,MAM,SSA,LPAは内壁直下の細線維と角強横網の膠原細線維に局在していたが,ConA,ABA,DSAは長周期線維,基底膜,弾力線維細線維とその周辺の細顆粒状物質に局在がみられた。 原発開放隅角緑内障,先天並びに若年緑内障,水晶体のう緑内障の線維柱組織を手術により切除し同組織の上述と同様な方法で固定,包埋し超薄切片を作り,I,III,IV,VI型コラーゲン,ラミニン,フイブロネクチン,トロンボスポンジン,トロポエラスチン,エラスチン,ケラタン硫酸,ヘパラン硫酸,コンドロイチン硫酸等の抗体を用いてそれぞれの抗原の局在を電顕を用いて観察し次の結果を得た。原発開放隅角緑内障では正常眼とは異なり,エラスケンの局在は,弾力線維内ばかりではなく内壁直下の細線維内にも屡々認められた。先天,若年緑内障ではエラスチンの局在は正常眼と同程度であったが、原発開放隅角緑内障とは異なりリフイブロネクチンの内皮網内への局在が顕著であった。水晶体のう緑内障では水晶体のうばかりではなく隅角組織のPE物質内にもエラスチンの局在が顕著であった。 内服したブタ膵臓エラスターゼの効果をみるため,線維柱組織切片をエラスターゼ並びに抗トリプシン-エラスターゼ複合物で処理した後,先述の方法でエラスチンを染色した所,両者ともかなり低濃度に至る迄線維柱組織のエラスチンを消化することが判明し,このエラスターゼが緑内障の治療剤になる可能性があることが判明した。
|