本研究は原発性角結膜上皮疾患に対する有効な治療法を開発するためのものであり、上皮培養に焦点をあてて研究を行った。 まず家兎角膜上皮細胞を継代培養できる方法を確立するように努力した。これには皮膚科領域で開発されている培養液と類似のコンセプトで培養液を作成し検討した。培養液は低Ca^<2+>濃度でアミノ酸組材を調整し血清無添加で使用したところ、約10世代にわたり細胞培養を行うことが出来、細胞の凍結保存も可能になった。この培養角膜上皮はEGFやKGFに対する増殖反応も良効であり、KGFレセプターも発現している事を確認した。 次に家兎角膜上皮細胞を初代培養し、これにSV-40のT抗原を組み込んだアデノウィルスをベクターとして角膜上皮細胞に取り込ませ、角膜上皮細胞の不死化を試みた。その結果、家兎角膜上皮細胞の株化に成功した。この細胞はAE5などの角膜上皮に特異的な抗ケラチン抗体に染色されるので、正常類似の形質を保持していると考えられた。 家兎を用いた角膜上皮形成術のモデルにより、角膜上皮移植の可能性を検討した。上皮型拒絶反応はFK-506あるいはミクロスポリンによって著明に抑制され、移植上皮の完全な生着をみた。 培養については、結膜上皮細胞の株化も検討中である。
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