研究概要 |
1.pellet培養に関する基礎的検討に関して:a.pellet内には網膜の主要細胞種の多くが存在すること、b.これらの細胞種は、正常網膜と類似した規則的配列を示すこと、c.こらの細胞種はpellet内で未分化な神経上皮細胞から分化してきたものであること、d.網膜に特徴的な微細構造の形勢がpellet培養中にみられること等を本研究期間中に明らかにした。これによって、従来からのデータとあわせ、pellet培養が、細胞の増殖、分化、形態形成という神経発生における主要な現象を培養下で全て再現可能な系であることを明らかにすることができた。 2.2型、3型糖輸送担体分子(GLUT2,GLT3)の、正常網膜およびpellet内における局在の比較:本研究期間中に、GLIT2は網膜のMuller細胞の尖側端に、GLUT3は網膜の網状層を中心に特徴的な分布を示すことを明らかにした。pellet内におけるGLUT2,GLUT3の局在を光顕レベルで検討したところ、その局在は、正常網膜のそれを忠実に反映したものであった。GLUT分子の例により、pellet培養の有用性を確認することができた。 pellet培養を用いた光受容細胞分化のメカニズムの解析:細胞種特異的細胞表面マーカーを用いた単一細胞種の単離、もしくは除去に関する検討を、主として双極細胞、光受容体細胞に関して行った。しかしながら、これをpellet培養に応用し、目標とした解析を行うためには、さらに基礎的な検討を要する状況にある。
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