現在までに老化に伴う骨組織の変化について多数の形態学的研究が報告されているが、その多くは骨梁の変化を形態計測的に解析している。この手法では、老化に伴う骨組織の減少等を明らかにすることは可能であるが、その成因にアプローチするのは因難である。そのため、我々は骨芽細胞の性状と機能を詳細に解析できる形態学的手法を開発することを試みてきた。そして、最近、我々は独自に開発した樹脂包埋法を用いて、成長骨組織でのin situ hybridization法の開発に成功した。そして、この方法を用いて老化に伴う骨芽細胞の骨基質形成能の変化を遺伝子レベルで解析した。その結果、I型コラーゲンやオステオカルシンのmRNAは老化に伴って著明に減少することが明かとなった。(現在投稿準備中)。 骨芽細胞は、骨髄内および骨膜部に存在するosteoprogenitor cellより分化すると考えられている。そのため、骨形成機構を検索する場合、成熟した骨芽細胞による骨形成能を調べるだけでなく、骨芽細胞の前駆細胞であるosteoprogenitor cellの性状を解析することも重要である。数年前まではosteoprogenitor cellの解析は放射性同位元素で細胞をラベルして、その動態を形態学的に追跡する方法で行われていた。一方、FreidensteinやOwenらは骨髄の細胞を低密度で培養したときに形成される線維芽細胞様コロニー(Colony forming units-fibroblastic;CFU-F)にosteoprogenitor cellが含まれていることを明らかにした。そのため我々もosteoprogenior cellを検索するために、彼らの方法を改変した方法で加齢に伴うラット骨髄中のCFU-Fの性状を解析した。その結果、ラット骨髄中のCFU-Cは加齢に伴って著明に減少することが明かとなった(現在投稿準備中)。
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