研究課題/領域番号 |
04454458
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研究機関 | 朝日大学 |
研究代表者 |
森 昌彦 朝日大学, 歯学部, 教授 (00076001)
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研究分担者 |
住友 伸一郎 朝日大学, 歯学部, 助手 (50216496)
玄 景華 朝日大学, 歯学部, 講師 (90215137)
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キーワード | オンコジン / プロトオンコジン / 口腔粘膜腫瘍 / 唾液腺腫癌 / EGF reccptor / PCNA |
研究概要 |
正常口腔粘膜上皮、良性腫瘍において、PCNAは基底細胞の核に、EGF-rは基底、有棘細胞の膜に陽性を示した。白板症では、PCNAは基底、傍基底細胞の核に、EGF-rは傍基底、有棘細胞の膜に陽性を示した。扁平上皮癌でPCNAは、高分化型では基底〜有棘部の癌細胞核に、低分化型では全体の腫瘍細胞核に陽性を示した。EGF-rは、高分化型では不規則な局在を示し、低分化型では陰性であった。腫瘍細胞の核にPCNAが陽性を示すものはEGF-rは陰性を示し、EGF-r陽性細胞の核にPCNAは陰性であった。これはG1〜S期の細胞では、EGF-r+EGF複合体が形成されるためであろう。口腔粘膜の腫瘍において変移型のp53がしばしば認められ、扁平上皮癌の約50%に陽性を示し、分化程度が低いほど陽性率が高い傾向が認められた。この詳細は現在検索中である。その他の癌遺伝子、癌抑制遺伝子産生物質に関して口腔粘膜腫瘍、疾患ではほとんど発現を認めなかった。唾液腺の乳頭状嚢腺癌におけるc-erbB-2の発現は16例中2例に認められ、他の唾液腺腫瘍よりも発現率が高かった。また、この腫瘍はS-100、NSE、GFAP、各種ケラチン、ビメンチンおよびMAM-3、MAM-6が腫瘍細胞に共存し、多形性腺腫に見られるmodified myoepithelial cellに類似した機能を有する腫瘍細胞より構成されることが示唆された。ハムスター頬嚢粘膜癌のPCNA陽性率は約15%であった。温熱療法後、腫瘍細胞は変性し、治療7日後で一部の外向性増殖腫癌の脱落も認められた。間質では血管拡張や炎症性細胞浸潤が認められた。温熱療法により腫瘍上皮のケラチン染色性は低下し、PCNA陽性率が顕著に減少し、間質においてテネシンの反応が強陽性に変化した。実験癌においてもEGF-rおよび各種癌遺伝子産生蛋白に関する検索を行ったが、いずれも陽性反応を認めなかった。これらの抗体がハムスターに対して交叉性がないのか、実験癌では癌遺伝子が関与しないのかという理由は不明である。
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