研究概要 |
我々はラットの完全分子型 osteocalcin(IOC)測定系およびN末端osteocalcin(NOC)測定系をそれぞれについて構築しを確立し、IOC およびNOCの骨代謝マーカーとしての意義づけを明確にする目的で種々の実験を行ってきた。これまでの実験結果より、我々の確立した分子構造特異的な酵素免疫測定系で検出されるNOCレベルあるいはFrOC(=NOC-IOC)レベルは骨代謝における骨吸収の局面を反映して変化する可能性を示した。さらにこの点を明確にする目的で骨代謝回転の変化が著明に起こる低Ca食飼育から正常食飼育に切り替える実験系を用いて、ラット血清中IOCおよびNOCの変化を測定し、近年骨吸収のマーカーとされているコラーゲン架橋物質pyridinoline(PYD)およびdeoxypyridinoline(DPYD)の尿中排泄量の変化との関連性について検討を行った。その結果、実験群では、低Ca食飼育により血清中IOCレベルは、14日まで経日的に徐々に上昇したの対して、血清中NOCの変化はIOCより早期にかつ大きな変化として認められた。低Ca食から正常食に切り替えると、その3日後には血清中IOCおよびNOCの値は対照群のレベルまで減少した。PYDおよびDPYD尿中排泄量は、対照群において実験経過とともに減少傾向を示し、実験群では対照群と比較して有意(P<0.001)に増加していた。しかし、いずれも実験開始後7日目でplateauに達し、14日目ではほぼ同レベルを維持していた。その後正常食に切り替えると、その7日後にはPYDおよびDPYDは対照群のレベルにまで減少した。また実験期間を通じて、全体的にPYDの変化に比較してDPYDの変化がより著明であった。実験群においては実験期間を通じてDPYDの尿中排泄量と血清中IOC(r=0.639,n=54,P<0.001),NOC(r=0.733,n=54,P<0.001)は有意の正の相関を示した。またFrOC(=NOC-IOC)については、実験開始後3日目、7日目において(r=0.738,n=16,P<0.001)正の相関を示した。
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