研究課題/領域番号 |
04454466
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
機能系基礎歯科学
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
俣木 志朗 長崎大学, 歯学部, 助教授 (80157221)
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研究分担者 |
尾崎 美穂 長崎大学, 歯学部, 教務職員 (50191341)
小林 泰浩 長崎大学, 歯学部, 助手 (20264252)
西下 一久 長崎大学, 歯学部, 助手 (20237697)
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研究期間 (年度) |
1992 – 1994
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キーワード | ラット / オステオカルシン / 完全分子型オステオカルシン / N末端オステオカルシン / 酵素免疫測定法 |
研究概要 |
オステオカルシンはビタミンK依存性の骨組織特異的な蛋白質で、骨芽細胞により分泌される。従来の研究では、オステオカルシンは種々の代謝性骨疾患において骨芽細胞の活性を示す感度の良い特異的な指標とされており、骨リモデリングの活性を反映することが推察されている。しかしながら、変化に富んだ代謝性骨疾患においては、血清中のオステオカルシンのレベルの意義について、いくつかの矛盾する見解が示されている。これは、おそらく循環血液中のオステオカルシン分子の免疫化学的な不均一性によるものと考えられている。本研究では我々はオステオカルシン分子のN末端のアミノ酸配列に着目し、オステオカルシン分子のN末端20残基の合成ペプチドに対するモノクロナール抗体を作製した。このモノクロナール抗体と同分子C末端8残基に対するポリクロナール抗体を用いることによって、我々はラットオステオカルシンに対する分子構造特異的な酵素免疫測定法、すなわち完全分子型ラットオステオカルシン(IOC)測定系とN末端ラットオステオカルシン(NOC)測定系を確立した。本測定系の有効性と測定感度を評価する目的で生理学的なデータを得るため、すでにラットの骨代謝回転に変化を及ぼすことが知られているいくつかの実験系を応用し血清オステオカルシンレベルの変化について検索を行った。加齢の影響を検討した結果、8、15、30、60週齢ラットにおいてIOC、NOCともに加齢とともに減少し、骨代謝回転の加齢的減少をよく反映していた。また骨代謝回転が上昇する低カルシウム食飼育ラットでは、IOC、NOCともに上昇したが、IOCに比べてNOCの方がより鋭敏に変化することが明らかとなった。さらに一過性に骨代謝回転を低減させるカルシトニンの作用についても検討した。その結果カルシトニンの投与後一過性に低下するのはNOCのみであり、IOCには顕著な変化は認められなかった。一方骨吸収の指標として用いられているコラーゲン架橋物質の尿中排泄量との相関性についても検討を行った。その結果、NOCがより高い有意の正の相関を示した。以上の結果から血清中のIOCレベルおよびNOCレベルはそれぞれ骨形成および骨吸収の指標として用いられる可能性が示された。本研究で確立されたラットオステオカルシンの分子構造特異的な酵素免疫測定法により、動物実験に汎用されるラットをもちいた骨代謝に関連する実験において、有用な情報が得られることが期待される。
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