本年度は当初の計画に従い、試作フッ素徐放性光重合型修復用材料ならびに裏層用材料に関する基礎的研究として、動物実験を行ない、これらの材料に対する歯髄の反応を組織学的に検索した。 1.試作裏層用材料に対する歯髄反応試験 試作裏層用材料の歯髄に対する影響を調べるため、国際規格を参考にして、成犬の歯牙を用いて病理組織学的検索を行なった。その結果、本試作裏層用材料は歯髄に対してほとんど刺激性を有さないことが判明した。本件に関して本年度は論文を作製し、学術雑誌に発表予定である。 2.試作修復用材料に対する歯髄反応試験 試作修復用材料の歯髄に対する影響を調べるため、国際規格を参考にして、ニホンザルの歯牙を用いて病理組織学的検索を行なった。その結果、本試作フッ素徐放性修復用材料は歯髄に対して刺激性を有していないことが明らかとなった。ヒト歯牙に極めて近似したサルの歯牙を用いたこの結果より、臨床応用の可能性が示唆された。本件に関して、論文を作製し、学術雑誌に発表予定である。 3.臨床実験 前項の結果を受けて臨床応用の可能性を検討するため、適応症列を選択し、両試作材料を用いた修復処置を行ない、経過観察を行なっている。これにより辺縁適合性の変化、2次ウ蝕発生の有無等の統計学的検索を目的としている。
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