研究概要 |
前年度,我々はセメント質でも十分石灰化していないプレセメンタムの精製を行い、歯肉線維芽細胞に対して強力な走化性を有する2、3の蛋白を分離、精製した。本年度は、この分離精製物質(ヒトプレセメンタム由来蛋白)ならびに既知のサイトカインであるPDGF,TGF-betaを歯肉線維芽細胞と同時に培養し、それら物質が培養細胞のDNA合成に与える影響について比較検討した。 実験方法は、96穴培養皿に歯肉線維芽細胞(2X10^4個/well)を播種し、37℃2時間インキュベートした。各well中に、ヒトプレセメント質抽出物の各フラクションサンプル(Fr.22〜Fr.51)のMEM溶液(濃度20%および40%)、ならびにTGF-beta,PDGFのMEM溶液(濃度2.0,5.0,10.0ng/ml)を添加した。ついで、^3H-Tdr(40muCi/ml)を添加、開放系37℃で24時間インキュベートした。トリプシン処理(10分間)後、96well filterに転写、細胞の^3H-Tdr取り込み量をカウントした。その結果、ヒト歯由来プレセメンタムから分離した幾つかの精製物質は、今回用いた既知のサイトカインのうち最も高いDNA合成を示したPDGFよりも歯肉線維芽細胞のDNA合成促進活性を促進した。また、DNA合成促進活性を示したフラクションは、chemo-assayの結果、歯肉線維芽細胞の走化性因子となったものとほぼ同一フラクションであった。
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