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1993 年度 実績報告書

酸を用いない象牙質面処理に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 04454483
研究機関京都大学

研究代表者

谷 嘉明  京都大学, 生体医療工学研究センター, 教授 (90026881)

研究分担者 都賀谷 紀宏  京都大学, 生体医療工学研究センター, 助手 (50127106)
キーワード接着 / 接着前処理 / 象牙質 / コンディショニング / ロダン化物
研究概要

従来から、象牙質画処理法の研究はきわめて多いが、これらはすべてリン酸エッチング、クエン酸、マレイン酸やEDTAによる処理である。これらの処理剤では、象牙質の無機質を可溶化するだけでなく、有機質の主成分であるコラーゲンを変性させる作用がある。
そこで、本研究代表者である谷は、酸を用いない前処理法を検討した結果、ロダン化物水溶液のコラーゲンおよびその変性物(ゼラチン)の膨潤を促進するsalting in効果に着目し、ロダン化物の稀薄水溶液が無機質を脱灰することなく、スメア層を除去できることを見出した。
まず、スメア層を形成した象牙質面に、10%、5%、1%チオシアン酸カリウム水溶液(KSCN)で60秒間処理、水洗、乾燥後、SEM観察した結果、スメア層は良好に除去されていることを確認した。さらに、また上記の溶液に架橋剤として三価の金属塩(塩化第二鉄、鉄ミョウバン、カリウムミョウバン)を添加した処理液を用いて、そのスメア層除去効果を観察した結果、dentinal plagsの溶出は少くなり、細管は緊密に封鎖されるのがみとめられた。
さらに、一方、KSCNで処理した象牙質面にコンポジットレジンシステムを接着して、その接着強さを測定した。その結果、KSCNで処理していない象牙質面へのコンポジットレジン(Palfique Estelite)の接着強さは30.5kg/cm^2であったのに対し、1%KSCN 0.1%塩化第二鉄水溶液で60秒間処理した象牙質面に対する接着強さは55.4kg/cm^2、1%KSCN 0.1%鉄ミョウバン水溶液で60秒間処理した象牙質面に対する接着強さは40.4kg/cm^2、1%KSCN 0.1%カリウムミョウバン水溶液で60秒間処理した象牙質面に対する接着強さは36.6kg/cm^2であった。この結果、ロダン化物水溶液による象牙質面処理がコンポジットレジンの接着性を改善することがあきらかになった。

  • 研究成果

    (8件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (8件)

  • [文献書誌] 谷 嘉明: "各種コンポジットレジンシステムによる象牙質接着性" 接着歯学. 10. 105-106 (1992)

  • [文献書誌] 谷 嘉明: "歯科用コンポジットレジン修復材の開発" 生体材料. 10. 328-334 (1992)

  • [文献書誌] Y.TANI: "Clinical Application of a New Colorless and Transparent Composite Resin" 4th World Biomaterials Congress Transactions. 371 (1992)

  • [文献書誌] Y.TANI: "Contraction Force and Polymerization Shrinkage of Composites with/without Glass Inserts" J.Dent.Res. 72. 598 (1992)

  • [文献書誌] 谷 嘉明: "各種コンポジットレジンシステムによる象牙質接着性(その2)" 接着歯学. 11. 71-72 (1993)

  • [文献書誌] 谷 嘉明: "象牙質接着性コンポジットレジンシステムによる楔状欠損部修復" Odontos. 35. 11-12 (1993)

  • [文献書誌] 谷 嘉明: "DE100号記念別冊「ここまできた歯科器材」" 医歯薬出版(株), 213 (1992)

  • [文献書誌] 谷 嘉明: "歯界展望別冊「歯科器材・薬剤選択のすべて」(分担執筆)" 医歯薬出版(株), 236 (1993)

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公開日: 1995-02-08   更新日: 2016-04-21  

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