研究概要 |
平成4年度は,全群において,インプラントを12カ月齢ビーグル犬下顎右側前臼歯部に植立した。また,観察期間を機能圧を負荷しない3カ月に設定した群では,観察期間中インプラントの脱落はなく,臨床的に動揺は認められなかった。また,インプラント周囲にX線透過像は観察されず,1回法のインプラントではペリオテストの測定値もマイナス値を示すなど,直接的骨接触界面が獲得されていると考えられた。組織学的には,全てのインプラントにおいて直接的な骨接触が認められたが,チタン合金製インプラントにおいては2回法の方が1回法に比べ骨の接触状態は良好であり,2回法がより好ましいと考えられた。しかし,ジルコニア製2回法インプラントでは,骨の新生はみられるものの骨の接触状態は不良であった。これはジルコニアインプラントを2回法で植立する際,インプラントの破折の恐れを考えてインプラント窩への埋入を十分に行えなかったためと考えられた。しかし,1回法のジルコニアインプラントではチタン合金製のものより良好な骨接触状態を呈していた。現在,組織標本にて詳細を検討中である。また画像解析装置を用いて組織形態計測学的な観察を行うことでインプラント周囲骨組織を定量的に検索する予定である。さらに,機能圧を12カ月負荷したインプラント周囲組織についても同様の検討を行う計画である。現在まで,動物の健康状態は良く,インプラントの脱落や動揺も認めらないなど,実験は順調に進行している。 これらの結果により機能圧負荷による影響についても考察し,平成5年度には,平成4年度の観察結果と併せて総括し,植立方法と材料の相違がインプラントー骨界面に与える影響について明らかにする。
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