咬合破綻の生涯対策としての口腔インプラント療法の適切な位置付けに関する研究

1992 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 04454491
• 研究機関: 東京歯科大学
• 研究代表者: 関根 弘 東京歯科大学, 歯学部, 教授 (10085714)
• 研究分担者: 田中 伸幸 東京歯科大学, 助手 (90227158) ; 高松 透浩 東京歯科大学, 助手 (20246333) ; 吉田 浩一 東京歯科大学, 助手 (00220640) ; 安達 康 東京歯科大学, 助教授 (50085891) ; 岸 正孝 東京歯科大学, 教授 (00085804)
• キーワード: 骨結合インプラント / 無歯顎症例 / 局部的歯牙欠如症例 / ゴム硬さ識別能 / 人工歯根の安定残存率

研究概要

咬合破綻の生涯対策として口腔インプラント療法を位置付けるためには、口腔インプラントにより回復・改善された諸機能が、長期間良好な状態で経過することを確認することがその基本となる。そこで、本研究においては、インプラント義歯の適応基準を得ること、インプラント義歯による口腔機能状態を把握することおよびインプラント義歯の長期経過を把握することとの3点を主要課題として検討を進めることにした。本年度における調査結果の概要は、以下に述べるとおりである。
1.インプラント義歯の適応基準の把握のために、従来、適応対象としていた無歯顎症例に加えて、局部的歯牙欠如症例に対象を拡大し、どのような歯牙の欠如状態に適応し得るかについて調査を行なった。なお、本年度に、施術したインプラント義歯数は、上顎では、無歯顎症例3例、局部的歯牙欠如症例10例であり、下顎では、無歯顎症例6例、局部的歯牙欠如症例23例である。
2.インプラント義歯による口腔機能状態を把握するために、上下顎でインプラントが対合する症例および天然歯にインプラントが対合する症例の両者を被験対象として選定し、JIS規格による中等度の硬さを示す合成ゴムの咬合による硬さ識別テストを行なった。その結果、この硬さの領域では、いずれの被験例においても高い識別能力を示し、天然歯列者のそれとほぼ同程度の能力を示すことが認められた。
3.インプラント義歯の長期経過を把握するために、当教室で施術したインプラント義歯症例について術後経過を調査した結果、植立した人工歯根数に対する好ましい状態で機能を発揮している人工歯根数の比率すなわち安定残存率は、人工歯根植立後1年経過、3年経過および5年経過のそれぞれについて、上顎では、95%、88%および81%を、下顎では、98%、95%および88%を示すことが認められた。

研究成果

• [文献書誌] 堀田 宏巳: "下顎Osseointegrated implant症例におけるFixtureの被圧変位特性に関する実験的研究" 歯科学報. 92(1). 1-65 (1992)
• [文献書誌] 粟澤 重樹,吉田 浩一,岸 正孝,関根 弘: "Osseointegrated implantの被圧変位特性に関する実験的研究(第4報)犬下顎骨適用Osseointegrated implantの被圧変位特性" 歯科学報. 92(7). 1077- (1992)
• [文献書誌] 野村 貴生,嶋村 一郎,岸 正孝,関根 弘: "Osseointegrated implantの被圧変位特性に関する実験的研究(第5報)Osseointegrated implantに関する2次元有限要素法解析" 歯科学報. 92(7). 1077-1078 (1992)
• [文献書誌] 関根 弘,岸 正孝,安達 康,小宮山 彌太郎,嶋村 一郎,吉田 浩一,野村 貴生,粟澤 重樹: "Osseointegrated implantの被圧変位特性に関する実験的研究(第6報)犬下顎骨の実測値に基づいた2次元有限要素法解析" 日本補綴歯科学会雑誌. 36.特別号. 101- (1992)
• [文献書誌] 関根 弘,岸 正孝,安達 康,小宮山 彌太郎,吉田 浩一,高松 透浩,河野 崇志,鈴木 浩樹,重松 知寛,斎藤 力: "東京歯科大学におけるOsseointegrated implantの臨床応用ー7年経過報告(その2)ー" 日本補綴歯科学会雑誌. 36.特別号. 185- (1992)
• [文献書誌] 関根 弘,岸 正孝,安達 康,小宮山 彌太郎,吉田 浩一,高松 透浩,河野 崇志,鈴木 浩樹: "Osseointegrated implantにおける補綴術式の改善について" 日本口腔インプラント学会雑誌. 5(1). (1993)