研究概要 |
多くの国民が健やかな老後を送るためには、好ましい咬合を長期に維持し、咬合の破綻に基づく機能障害を回避させる必要がある。ここで、患者の局所的、全身的および精神的な面から、通常の可撤性義歯によっては機能回復を求めることが困難あるいは不利な症例に対して、人工歯根を顎骨内に埋入するインプラント義歯が選択される。しかしながら、インプラント療法には多くの種類が報告されているが、それらの多くは客観的な臨床評価が行なわれていない現状にある。 ここで、近年のインプラント療法の進歩は目覚ましく、昭和60年度に東京歯科大学病院における高度先進医療として厚生省によって初めて承認された『チタンによる人工歯根を用いた骨結合インプラント治療法』については、好ましい評価が得られているが、今回、東京歯科大学におけるOsseointegrated implantについて、その臨床評価を実施し、それらの症例がいずれも良好な経過を示していることを確認した。 これらの臨床評価については、「Functioning survival rate of the fixture and superstructure of osseointegrated implants(First report)」Bull.Tokyo dent.Coll.,Vol.34,No.4,1933.および「東京歯科大学におけるosseointegrated implantの臨床評価-fixtureおよび上部構造の機能残存率-」歯科学報、93巻12号、1993.として報告した。 なお、好ましい咬合を長期に維持させるという観点からは、種々のインプラント療法に関する評価を行ない、症例個々の条件に対して、咬合再構成に関する種々の術式を、どのように適応させるべきかについての診断基準を把握し、各種インプラント療法の位置付けについて、さらに検討を進める必要がある。
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