研究概要 |
X線画像の入出力装置と処理装置を組み合わせた医用X線画像処理システムを近畿大学工学部と広島大学歯学部でそれぞれ構築した。これらは以下に示す二つのシステムである。1)X線写真をディジタル化し,コンピュータに転送するシステム(近畿大学工学部)2)直接,X線像をディジタル化するコンピューテッドラジオグラフィ(CR)(広島大学歯学部附属病院)。CRが設置されたことから,入力画像のディジタル化と保管の充実により,当初計画の規模より大きなシステムの構築が可能となった。医用X線画像は通常の画像と異なり,診断という特殊な目的に用いられる。診断は単純な形状のパターン認識ではなく,正常構造の消失,濃淡の変化という従来の特徴抽出では検知が困難な要素を多く含んでいる。さらに,医用X線画像は患者被曝線量低減の観点から増感紙を用いているために画像がぼけ,かつX線量子モトルという雑音が付加されている。したがって,診断支援システムの開発では,医用X線画像の特性を十分に把握し,かつ診断に対する深い洞察が必要となる。本システムでは,画像からの情報を多角的に抽出するためにX線画像に施す種々の処理フィルタの開発を行っている。たとえば,抽出された特徴量をもとに,ニューラルネットワーク理論を応用した診断支援システムを構築するため,Neural Ware社製ソフトNeural Works Professional II/PLUSを用いたプログラムを作成した。画像からの情報を多画的に抽出するためのX線画像に施す種々の処理フィルタについては,抽出された特徴量をもとに,ファジィ理論とニューラルネットワーク理論を応用した診断支援システムを開発中であるが,一部開発したものをこれらの画像処理システムで試行している。また,頭頸部領域の多種の病変を含むX線写真の抽出を行っている。
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