研究課題/領域番号 |
04454508
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研究機関 | 大分医科大学 |
研究代表者 |
清水 正嗣 大分医科大学, 医学部, 教授 (90013846)
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研究分担者 |
木村 光孝 九州歯科大学, 歯学部, 教授 (70047801)
河野 憲司 大分医科大学, 医学部, 助手 (50214664)
松島 凛太郎 大分医科大学, 医学部, 講師 (10209546)
水城 春美 大分医科大学, 医学部, 講師 (40145397)
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キーワード | 口腔領域腫瘍 / 口腔癌 / 臨床的悪性度 / 治療法選択 / 増殖能 / 浸潤能 / 抗癌剤感受性 |
研究概要 |
癌細胞浸潤アッセイ法の条件決めのための実験を、前年度に引き続いて行った。 具体的にはcollagen gel matrix培養法による癌細胞浸潤モデルにおいてゲル内埋入線維芽細胞の癌細胞の動態へ与える影響を検討した。使用した癌細胞は舌原発扁平上皮癌から樹立された2種類の癌細胞株のMOK103(当科にて樹立)とSCC9(ATCCより供与)、ゲル内埋入線維芽細胞はヒト胎児肺由来のMRC-5またはマウス胎児由来のSwiss albino 3T3の2種類の線維芽細胞株である。1×10^4,1×10^5,1×10^6個の線維芽細胞をコラーゲン溶液2mlに懸濁しゲル化した後、癌細胞1×10^6個を含む培地4mlをゲル上に重層した。対照として線維芽細胞を含まないゲル上に同様に癌細胞を重層した。2週間後にホルマリン固定・パラフィン薄切標本を作製してHE染色を施し、癌細胞の動態を検索した。まず対照群ではいずれの癌細胞もゲル内へ侵入しなかった。ゲル内にMRC-5を埋入した場合、SCC9はMRC-5埋入数1×10^5個から索状の、MOK103は埋入数1×10^4から棍棒状のゲル内侵入像を示した。一方、3T3を埋入するとSCC9はゲル表面での層形状が阻害され、ゲル内に侵入しないのに対して、MOK103は埋入数1×10^4から侵入し、ゲルとの境界線は鋸歯状を呈した。癌細胞のゲル侵入に線維芽細胞の種類、数が関係することが分かった。またSCC9群についてもE-cadherinの発現、分布を免疫組織化学的に検索したところ、癌細胞層の形成を認めなかった3T3埋入例では殆ど発現していなかったのに対して、MRC-5埋入例では癌細胞間隙に一致して発現を認め、癌細胞層の表層では強く染色されていたが、浸潤先端部では染色性が弱かった。癌細胞の層形成とゲル内浸潤へのE-cadherinの関与、また癌細胞のE-cadherin発現に対する線維芽細胞の影響が示唆された。
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