研究課題/領域番号 |
04454522
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研究機関 | 東京歯科大学 |
研究代表者 |
松久保 隆 東京歯科大学, 衛生学, 助教授 (90112804)
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研究分担者 |
大川 由一 東京歯科大学, 衛生学, 講師 (20211097)
田崎 雅和 東京歯科大学, 生理学, 講師 (40155065)
高江洲 義矩 東京歯科大学, 衛生学, 教授 (60048303)
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キーワード | 食品 / 咀嚼能力 / 食品物性 / 咬合状態 / 初期接触 / 上下顎歯牙接触点数 / T-ScanPC |
研究概要 |
研究代表者らは、咬合咀嚼の不調和に与える食品および生体要因を解析することによって新しい食品の評価方法の体系化を検討しており、咀嚼筋活動量および顎運動速度の解析によって食品の口腔内物性変化を客観的にとらえることが可能であることを報告してきた。本研究は、これらの研究結果を基礎として、個人の咀嚼性を表す指標食品を顎運動の評価によって年齢特性ならびに咬合状態に適合させて確立し、口腔機能に関する保健指導に役立てることを目的とした。 平成5年度は、比較的正常咬合をもつ成人を被験者とし、顎運動経路・速度の測定を物性の異なる被験食品を用いて測定し、個人の咀嚼性を示すと考えられる指標食品の評価を行った。さらに,被験者の咬合状態との関連性についても検討した。また、喪失歯を含む成人集団における咬合・咀嚼機能の客観評価(T-Scanによる評価)とアンケート調査による主観評価との関係性についても検討した。 その結果、下顎の開口時および閉口時ともに速度に影響がみられないパターンであるZ型の相対出現頻度の個人差は、フランスパン、スルメ、キャラメルには見られなかった。一方、モチおよびキンピラゴボウは個人差が著明に認められた。とくにキンピラゴボウは適度な硬さを有する繊維性食品であり、咀嚼開始時からすでに数個の食片に分れれいるため上下顎の歯牙、舌、頬粘膜のバランスが特に必要な食品であると考えられ個人の咀嚼機能を判断するためには最も理想的な食品であると考えられた。 咬合・咀嚼機能の客観的評価および主観的評価の関連性の検討の結果、T-Scanによる咬合・咀嚼機能の客観評価は、個人の咬合・咀嚼機能の主観評価と関連し、保健指導に用いることが可能であるとこと、また、咬合接触点数が11以下であると咬合・咀嚼機能になんらかの劣性を意識していると考えられた。また、金属冠による処置歯数は咬合接触部位数を減少させることが示され、処置内容も個人の咬合・咀嚼機能に影響を与えていることが示された。
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