研究概要 |
1)補体第4成分,C4,の活性化に伴う分子構造変化:免疫複合体の生成により補体系が活性化されると、C4がC4a,C4bの2フラグメントに分解される。この時、コンフォメーション変化がおこり、C4bに種々の補体成分に対する結合部位が発現する。本研究において、C4とは結合するがC4bとは結合しない単クローン抗体(A1#121-6)を分離し、その抗体結合部位の一次構造を決定した。その結果、この抗体結合部位のNー末端側には疎水性構造の領域があり、C4がC4bへと切断されると、この疎水性領域が分子内部に移行することが明らかになった。本研究成果はBiochem.J.にて発表した。 2)C3aアナフィラトキシン受容体の解析:モルモットマクロファージにはC3aアナフィラトキシンの特異的な受容体が2種類存在すること、C3a刺激により活性酸素を放出すること、さらに、C3aレセプターにはG蛋白質が連関していることなどを明らかにした。この成果については、現在投稿中(Immunology)である。 3)血管内皮細胞の補体制御因子群の発現調節:血管内皮細胞には自己の補体攻撃を回避するための3種類の膜蛋白質が発現している。その一つのDAFと呼ばれる因子の発現がヒスタミン刺激により約2倍増加することを見いだした。さらに、DAFは速やかに細胞表面から離脱し、その半減期は約12時間であることを明らかにした。この研究成果については現在投稿中(J.Immunol.)である。
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