研究課題/領域番号 |
04454530
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
長尾 拓 東京大学, 薬学部, 教授 (30217971)
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研究分担者 |
赤羽 悟美 東京大学, 薬学部, 助手 (00184185)
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キーワード | カルシウム拮抗薬 / カルシウムチャネル / ジルチアゼム / ベラパミル / ニフェジピン / 心筋 / パッチクランプ / 虚血 |
研究概要 |
カルシウム拮抗薬はベラパミル、ニフェジピン、ジルチアゼムを代表とするが、化学構造が著しく異なり、L型Caチャネルに独立した結合部位を持つ。各Ca拮抗薬群で臨床的な作用や組織選択性の違いが知られている。Ca拮抗薬は冠血管に対する作用が心筋に対する作用より強いにもかかわらず虚血心筋保護作用も報告されている。本研究は、一見矛盾する効果を薬物の電位依存性の違いで説明できるとの仮説のもとに計画された。 1)ジルチアゼム作用のpH依存性および4級塩のCa電流抑制作用モルモット心筋単離細胞を用いた whole cellパッチクランプ法により、ジルチアゼムのpH依存性を調べたところ、pH6.8-9.0の間で抑制作用は変わらなかった。一方、4級塩の作用もpHにより変化しなかった。4級塩は、リガンド結合実験からジルチアゼムと同一部位に結合すること、またパッチクランプ法で細胞外から作用することを見出した。これはほぼ同時期に独立に行われたGlossmannやSchwartzの研究結果と一致し、タイムリーな研究となった。 2)脱分極によるCa拮抗薬の収縮力とCa電流抑制作用の増強 外液K濃度を2.7mMから12.7mMに上昇させると、モルモット乳頭筋の収縮抑制は、ジルチアゼムで100倍、ベラパミルで20倍抑制が強くなったが、ニフェジピンでは変化しなかった。膜電位は-80mVから-60mVに変化しており、Ca拮抗薬の電位依存性に違いがあることが分った。これは、単離心筋のwhole cellパッチクランプ法で、各Ca拮抗薬のCa電流のuse-dependent blockの電位依存性が違うことで説明された。これまでin vivo虚血心筋モデルでCa拮抗薬間に作用の不一致があった。本研究の結果は部分的にこの違いを説明できるものであり、さらに各Ca拮抗薬の臨床効果の違いにもこの性質が関与している可能性が示された。
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