研究課題/領域番号 |
04454533
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
矢田 登 広島大学, 医学部, 教授 (70028835)
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研究分担者 |
村上 照夫 広島大学, 医学部, 助教授 (20136055)
東 豊 広島大学, 医学部, 助教授 (90127697)
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キーワード | 塩基性薬物 / 組織分布 / 種差 / ホスファチジルセリン含量 / 相互作用 / アニマルスケールアップ / ヒトでの分布予測 |
研究概要 |
雄性白色家兎及びSD系雄性ラットに薬物を急速単回静注して得られた血漿中濃度の時間推移を2-コンパートメントモデル解析し、ファーマコキネティックパラメータを得た。これらのパラメータを利用して、目的とする定常状態血中濃度を得るための点滴静注速度及び併用1回投与量を定めた。定常状態における血漿中濃度(1.87μM)が得られた時点で動物を放血致死させ、各種臓器を摘出した。臓器湿重量を測定した後、一部をホモジナイズし、有機溶媒抽出後、HPLCにより定量した。本年度は先ず、キニジンについて検討した。 組織中濃度・血漿中濃度比、Kp値を求めたところ、ラットでは肺臓73.1±3.2、脾臓28.9±1.5、腎臓26.0±1.3、肝臓26.4±2.3、小腸10.1±1.7、心臓11.1±1.1、筋肉4.3±0.3、精嚢2.2±0.1であった。一方、家兎においては(2例の平均)、肺臓84.3、脾臓53.9、腎臓60.7、肝臓12.4、小腸10.7、心臓10.6、胃6.6、筋肉3.4、精嚢4.1であった。 家兎におけるキニジンの各種臓器Kp値は、ラットにおける組織中フォスファチジルセリン濃度との間に良好な直線関係(r=0.954)が得られ、家兎においてもキニジンの組織間での分布の相違が組織内フォスファチジルセリン濃度で規定されることが示唆された。しかし、ここで用いた組織内フォスファチジルセリン濃度はラットの値であり、家兎の値は現在実験中である。 動物種間でのKp値を比較すると、肺臓、脾臓、腎臓においては、そのKp値は家兎の方が有意に大きい値を示した。このことは、上記組織におけるフォスファチジルセリン含有量がラットより大であることを示唆するものである。尚、マウス、モルモットについても、試料を凍結保存中であり、現在順次測定中である。
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