研究課題/領域番号 |
04454534
|
研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
大石 幸子 北里大学, 薬学部, 教授 (70050416)
|
研究分担者 |
三田 征治 北里大学, 薬学部, 助手 (90200039)
宇都宮 郁 北里大学, 薬学部, 助手 (70168722)
八巻 幸二 北里大学, 薬学部, 助手 (70174597)
上野 晃憲 北里大学, 薬学部, 助教授 (00112657)
|
キーワード | カリクレイン・キニン系 / キニノゲン欠損ラット / 高分子キニノゲン / 低分子キニノゲン / ブラウン・ノルウェイ・ラット / カラゲニン胸膜炎 / ワンポイントミューテーション |
研究概要 |
〔1〕キニノゲンの病態生理的役割:平成4年度までのキニノゲン欠損ラットを用いた研究によって、カラゲニンやカオリン胸膜炎の胸腔内滲出液貯溜にカリクレイン・キニン系の関与が推定された。そこで本年度はこの胸膜炎の炎症局所において、実際にキニノゲンからキニンが遊離されていることを証明するために、胸膜炎の炎症滲出液中のキニノゲンについてSDS-PAGE後イムノブロットを行った。まず滲出液をゲル濾過クロマトグラフィーにかけ、高分子キニノゲン(HK)分画と低分子キニノゲン(LK)分画をとり、HKのL鎖抗体(HK特異的)およびHK,LK両者を認識する抗体を用いて検討した。その結果滲出液中のHKは、還元パターンではL鎖H鎖に分れブラジキニンを遊離した形で存在するが、LKはインタクトであった。即ちカオリン、カラゲニン胸膜炎ではキニン遊離があるが、ザイモサン、ホルボルエステル胸膜炎ではキニン遊離は認められず、キニノゲン欠損ラットでの結果とよく符合した。 〔2〕キニノゲンの生理的役割(尿中キニン):ラットの尿中ではキニン分解活性がヒト尿に比べて強く、またブラジキニンの抗体に反応する蛋白が多く含まれるため、正確なキニン量の測定報告がなかった。今回ラットを麻酔下で輸尿管より尿を採取し、その尿中のキニンを微量定量する方法、即ちSep-pak処理後酵素免疫測定法を用いる方法を確立した。これを用いて測定すると、キニノゲン欠損ラットの尿中キニンは正常に対して有意に低値であった。そこで欠損ラットの静脈内にHKまたはLKを持続注入し、尿中キニンの変化を調べたところ、LKの注入により尿中に有意なキニン量の増加が認められ、欠損ラットの腎臓はキニン遊離能力を有すること、また正常ラットの尿中キニンは主にLK由来であることがわかった。さらに、正常ラット尿中よりキニンを精製、アミノ酸配列を調べたところブラジキニンに一致した。
|