研究概要 |
ブルーム症候群原因遺伝子座の決定の試みは,従来より連鎖解析によって行われてきた。本研究では,ブルーム症候群由来細胞で姉妹染色分体交換(SCE)が高頻度に観察される特性を利用して,微小核細胞融合法を用いて正常細胞由来の染色体をブルーム症候群由来の不死化細胞に移入し,SCEが正常頻度になる染色体を決定し,染色体の一部が移入された細胞におけるSCEを検索することにより,移入染色体部位との相関を調べ,詳細な原因遺伝子マッピングをすることを目的とした。1)本年度は,正常ヒト線維芽細胞由来のpSV2neo遺伝子で標識した染色体を1本のみ含むマウスA9細胞より微小核を調整し,それらを液体チッ素にて凍結保存した。2)ブルーム症候群由来の細胞として,SV40形質転換細胞GM8505,および自然形質転換線維芽細胞GM1492と前述の微小核細胞とを融合させ,前者からは17クローン,後者からは10クローンを分離した。3)これらのクローンより染色体標本を作製し,キナクリン・ヘキスト併用染色により,染色体解析を行ったところ,約半数は移入染色体が完全な形で保存されていたが,残りのクローンは,移入染色体の一部が認められるか,あるいは染色体解析によっては同定できなかったクローンであった。次年度は,これらのクローンを用いて,SCEの頻度を検索し,部分的に移入されている染色体の存在部位と欠失部位を同定する予定である。なお,その準備のため,すべての染色体に対するマーカープローブの収集を行った。
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