研究課題/領域番号 |
04454546
|
研究種目 |
一般研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
病態検査学
|
研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
奥宮 明子 神戸大学, 医療技術短期大学部, 助教授 (10107948)
|
研究分担者 |
船原 芳範 神戸大学, 医学部, 助教授 (90030840)
石川 斉 神戸大学, 医療技術短期大学部, 教授 (30107958)
|
研究期間 (年度) |
1992 – 1993
|
キーワード | 血液凝固 / 血小板 / トロンビン / リウマチ性関節炎 / サラセミア / Thrombin |
研究概要 |
血球を含む全血液の凝固活性化能の全体像を把握する測定法の開発とそのサラセミア血症および慢性関節リウマチ患者への応用という本研究の2つの目的のうち、測定法については全血を37℃、90分インキュベートした後の血液のエラジン酸活性化によるトロンビン生成能を測定するという方法を確立した。この全血凝固促進活性測定法は血球膜の変化を鋭敏に反映する測定系であり、血球成分の膜の構造変化が凝固促進活性をもたらすことが明確に示された。 β-サラセミアHb/E症患者血液において全血凝固促進活性の高い例が多く見られ、なかでも脾臓摘出術(脾摘)を受けた患者群において活性の著しく高い例が見い出された。このことは、脾摘を受けたサラセミア症患者に肺塞栓症の発生率が高いという臨床データを解析するうえで貴重な示唆を与えるものであり、我々の基礎実験結果の示唆するところが臨床例においてみられた好例である。さらに抗血小板剤投与による全血凝固促進活性抑制効果が明らかとなった。これらの成果を基礎にして平成6年度にはサラセミア血症患者への対症療法の改善を目的とした臨床研究が開始され、合計11名の患者に血小板および赤血球膜に作用する薬物である塩酸ジラゼップの投与を行い、その効果の検討を行った。これまでに得られた成績では、ヘモグロビン量の低下の抑制、全血凝固促進活性の低下(血栓傾向の抑制を示唆する)、末梢循環および心機能の改善を示唆する結果が得られており、本研究課題で得られた全血凝固促進活性の測定方法は今後サラセミア症の解析に有用であろうと考えられた。 慢性関節リウマチ患者血液(n=5)の血漿トロンビン・アンチトロンビン複合体値は3〜7ug/lの間に分布し、凝固系の亢進は弱いものであった。また、全血凝固促進活性は正常ボランテイアに比べやや高い値が得られたが、凝固促進活性を明らかに結論づける程には著しくはなかった。
|