研究課題/領域番号 |
04454550
|
研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
高崎 絹子 東京医科歯科大学, 医学部, 助教授 (50100607)
|
研究分担者 |
北川 公子 前東京医科歯科大学, 医学部, 助手 (30224950)
野川 とも江 埼玉県立衛生短期大学, 看護学科, 助教授 (20104987)
川村 佐和子 東京医科歯科大学, 医学部, 教授 (30186142)
|
キーワード | 痴呆性老人 / 在宅ケア / 介護家族 / 介護意識 / 死亡関連要因 / 縦断的研究 |
研究概要 |
本研究は、在宅呆け老人とその家族を長期にわたって追跡し、死亡や介護状況を調べ、死亡関連要因を探るとともに、地域における保健医療福祉サービスの方向を探ることを目的として行った。 〈研究方法・期間・調査内容〉 昭和59年に所沢市の65歳以上の在宅老人1万5千人を対象に全数調査を実施し、306人の呆け老人を把握した。その老人と家族を対象に追跡調査を行ったところ、8年間に死亡した老人は228人、生存者41人、転居など把握不明者37人であった。平成4年には死亡者の動向を調べ、看取り後の家族に対して電話による聞き取り調査を行い、有効数105人を得た。平成5年にはさらにケースに関する情報やサービスの状況を調査して結果についての分析を行った。調査内容は老人のぼけの発症から死亡に至るまでの期間とその経過、居所の動き、ADLの変化、介護状況、保健福祉サービスの状況などである。 〈研究結果〉 (1)老人の状況 発症から死亡にいたるまでの期間は平均7年前後、10年以上のものは約1/3であった。その期間に入院を経験のあるものは1/3であった。おむつ使用者は81.0%、じょく創のある者44.8%、死亡2-3ヶ月前の移動能力はほぼ寝たきりが56.25%、歩ける者は19.1%であった。死亡した場所は、自宅が38.1%であった。 (2)介護者、サービスの利用状況 介護者の健康状態の悪い者は1/3、介護をやめたくなったことのある者は24.8%、介護を替わってもらった者は約1/2であった。利用した主なサービスは、訪問看護23人、ヘルパー4人、デイサービス7人、ショートステイ9人、入浴サービス22人であった。 看取り後の介護者が今後の介護についての意識をみると、家族44.7%、近所・友人36.1%ボランテイアとして20.9%の者が世話をしたいと答えた。 以上の結果から、ボケ老人の介護の因難さ、多様さ及び経過の長さが浮き彫りにされた。しかし、介護経験者である家族が、今後も又お世話をしたいと答えている者が3-4割いる本調査の結果は、今後の地域ケアの方向に重要な示唆を示しているということができる。
|