研究概要 |
昭和59年に所沢市の65歳以上の在宅老人1万5千人を対象に全数調査を実施し、306人の呆け老人を把握した。その後、8年間に死亡した老人は228人、生存者41人、転居など把握不明者37人であった。平成5年に看取りの後の家族に対して電話による聞き取り調査を行い、有効数105人を得た。平成6年にはケースの背景やサービスの状況を調査し、その結果についての分布を行った。 調査内容は老人のぼけの発症から死亡に至るまでの期間とその経過、居所の動き,ADLの変化、介護状況、保護福祉サービスの状況である。 〈研究結果〉 (1)老人の状況 発症から死亡にいたるまでの期間は平均7年前後、10年以上のものは約1/3であった。その期間に入院を経験のあるものは1/3、おむつ使用者は81.0%、じょく創のある者44.8%,死亡2-3ヶ月前の移動能力はほぼ寝たきりが56.25%,歩ける者は19.1%であった。死亡した場所は、自宅が38.1%であった。 (2)介護者、サービスの利用状況 介護者の健康状態の悪い者は1/3,介護を替わってもらった者は約1/2であった。利用した主なサービスは、訪問看護23人、ヘルパー4人、ディサービス7人、ショートステイ9人、入浴サービス22人であった。 看取り後の介護者の今後の介護への意識では、家族には44.7%,近所・友人には36.1%,ボランティアとしては20.9%の者が世話をしたいと答えた。 以上の結果から、ボケ老人の介護の困難さ、複雑さ、経過の長さが浮き彫りにされた。しかし、介護経験者である家族が、今後も又お世話をしたいと答えている者が3-4割いる 本調査の結果は、今後の地域ケアの方向に重要な示唆を示しているということができる。
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