研究課題/領域番号 |
04454551
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
阿曽 洋子 大阪大学, 医学部, 助教授 (80127175)
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研究分担者 |
氏家 幸子 大阪府立看護大学, 看護学部, 教授 (90030006)
田中 結華 大阪大学, 医学部, 助手 (80236645)
丸橋 佐和子 大阪大学, 医学部, 助教授 (30030018)
大中 幸三郎 大阪大学, 工学部, 助教授 (60127199)
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キーワード | 老人 / 褥瘡 / 循環動態 / 有限要素解析 / 境界要素解析 |
研究概要 |
平成5年度に行った研究結果をもとに、平成6年度は大型コンピュータによる熱伝導の有限要素解析のプログラムの作成を試みた。有限要素解析では解析に使用する弾性係数のモデル化が人体の場合、皮膚や筋肉層、血管など構成要素が複雑で困難であることがわかった。そこで、大型コンピュータの計算も簡単で、有限要素解析と同様の結果が得られると考えられる境界要素解析の使用を検討し、その同定プログラムを開発した。境界要素解析をより有効に使用するために実験条件を整え、平成5年度に続いて再度仙骨部の循環動態を調べた。実験の対象は、病院に入院中の褥瘡ができやすい65歳から74歳の寝たきりの女性患者(易褥瘡高齢者)及び、病気による継続的な治療が必要ではない65歳から74歳の女性の健康高齢者(健康高齢者)である。方法は、仙骨部に40℃の温熱刺激を10秒間加え、赤外線映像装置でその後の皮膚温の変化を10秒間隔で5分間撮影し、仙骨部を中心として3cm四方上に境界域を定めて解析に必要な56点の皮膚温のデータを収集した。その結果から、境界要素解析の同定プログラムにより、個人別の熱伝導率を求めた。また、血液検査なども並行して実施し、褥瘡の発生に関連する因子としての客観的データを得た。 その結果、血液検査の結果では、健康高齢者の方が易褥瘡高齢者よりもA/G比が高く、また、健康高齢者の方が易褥瘡高齢者よりも約2.2倍熱伝導率が高いことが判明した。このことは、中山によると熱伝導率は血流と正比例の関係があることから、易褥瘡高齢者は健康高齢者よりも血流が悪いことが証明された。血液検査の結果からも、易褥瘡高齢者の方が栄養的にも劣っていることがわかった。今後の課題として、多くの易褥瘡高齢者の熱伝導係数を求めることにより係数を普遍化し、臨床看護学的には皮膚温を測定することで褥瘡の初発を感知し、予防策が講じられるよう、さらに研究を発展させたい。
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