研究概要 |
平成5年度は主に、ヒトアルドース還元酵素cDNAを導入したトランスジェニックマウス(hAR-Tg)を用いて研究を進めた。 まず、hAR-Tgの筋組織のホモジェネート上清から硫安沈殿、Sephadex G-100,Blue-Sepharose CL-6B,DEAE-Sephacelを経て、ARを精製し、NADPHの消費を吸光度の減少で測定する方法を用いてARの活性を測定した。マウスARとヒトARとを分画することは困難であったが、hAR-Tgの筋組織から精製されたARの蛋白量と活性はlitter mateから得られたARと比較して約5〜6倍であった。 次に、hAR-Tgの肝、腎組織のホモジェネート上清を1M過塩素酸で除蛋白し、水酸化カリウムで中和した後、ソルビトール脱水素酵素を用いたアッセイ系によってソルビトール濃度を測定した。通常食投与下においてはhAR-Tgの肝、腎組織中のソルビトール濃度はlitter mateの値と有意差がなかったが、30%グルコース食投与によってhAR-Tgでのみ肝、腎組織中のソルビトール濃度が上昇し、この上昇はARI(Ono-2235)の同時投与によって抑制された。 一方、弘前大学医学部病理教室の協力を得て、hAR-Tgの神経伝達速度を腓腹神経を用いて測定したところ20%ガラクトース食を投与するとhAR-Tgの神経伝達速度が有意に低下し、この低下はARIの同時投与によって抑制された。
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