研究課題
一般研究(B)
グルコーストランスポーターのアイソフォームは非常に類似した構造を有するにもかかわらず、その糖輸送の特性が異なっている。例えば、GLUT1はKmが低い(すなわち、親和性が高い)が、GLUT2はKmが高いグルコーストランスポーターである。一方、GLUT2はGLUT1に比べて、Vmaxが高い。我々は、そのアミノ酸配列を検討すると、細胞内に存在するC末端は比較的ホモロジーが低いことに着目した。そこで、C末端の違いがアイソフォーム特異的な糖輸送特性を規定しているのではないかとの仮説を実証するためにGLUT1とGLUT2のキメラ糖輸送担体を作製することを試みた。GLUT1のC末端細胞内部分の42個のアミノ酸をGLUT2のC末端部分と置換したキメラ糖輸送担体のcDNAを作製し、CHO細胞に発現ベクターと共に導入した。キメラ糖輸送担体の発現はWestern blottingで確認した後、糖輸送活性を測定した。キメラ糖輸送担体を発現させた細胞では、細胞表面の糖輸送担体の数が少ないクローンでも10mMでの糖輸送活性はむしろ多く、細胞表面の糖輸送担体1個当たりで計算すると、糖取り込みのKmはGLUT1の3.8倍,Vmaxは4.3倍に増加していることがあきらかとなった。すなわち、GLUT1のC末端をGLUT2に置換することによって、GLUT2らしさが付与されたのであった。このように、グルコーストランスポーターC末端はアイソフオーム特異的な糖輸送特性を決定する上で重要な役割を果たしていると考えられる。
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