研究課題/領域番号 |
04454559
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
妹尾 久雄 名古屋大学, 環境医学研究所, 教授 (40135380)
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研究分担者 |
宮本 法博 名古屋大学, 環境医学研究所, 助手 (10221615)
村田 善晴 名古屋大学, 環境医学研究所, 助教授 (80174308)
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キーワード | Pax-8 / 胎盤 / サイログロブリン / ルシフェラーゼ / TTF-1 / TBG / HNF-1 |
研究概要 |
神経系、血球系、下垂体、甲状腺、筋組織等において、ホメオボックス蛋白を含めて多数の組織特異的転写調節因子が同定され、これらの因子が各組織の形成、分化に必須であることが報告されている。更に、こうした因子の中には、分化誘導のみならず成体組織の分化機能の維持にも重要な役割を果たしている因子がある。Paired domain遺伝子に属する転写調節因子Pax-8は初め甲状腺と腎で同定された。我々は、Pax-8 mRNAの発現をラットの種々の臓器でreverse transcription-polymerase chain reaction法で検討したところ、胎盤でも発現していることを見い出した。次に、Pax-8の転写調節作用を、甲状腺特異的蛋白であるサイログロブリン(TG)遺伝子の転写調節領域を用いて検討した。TG遺伝子転写調節領域をレポーター遺伝子ルシフェラーゼの上流に組み込んで、これを培養甲状腺細胞に遺伝子導入した。その結果、-178から+1の転写調節領域がTG遺伝子の甲状腺特異的発現に必須であることが判明した。更に、Electrophoretic Mobility Shift Assay法を用いて、この領域に結合する転写調節因子を同定したところ、Pax-8と共にTTF-1、TTF-2といった甲状腺特異的転写調節因子がTG遺伝子の発現に重要であることを見い出した。Pax-8は甲状腺において甲状腺特異的蛋白の発現に必須の転写調節因子であることから、胎盤においてもhPLやhCGといった胎盤特異的蛋白の発現に関与している可能性が示唆された。我々が世界に先駆けてそのcDNAとゲノム遺伝子をクローニングした甲状腺ホルモン結合グロブリン(TBG)は肝でのみ発現している。TBG遺伝子の肝特異的発現機構を検討したところ、HNF-1の転写調節領域への結合が重要であることが判明した。HNF-1は肝のみならず、腎、小腸、胃等の成体各組織で発現しており、現在胎盤における発現を検討中である。
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