研究概要 |
解糖律速酵素ホスホフルクトキナーゼ(PFK)のM,L,Pの全アイソザイムについて,まず遺伝子解析を行い,基本的な構造と機能を明らかにした。ヒトPFK-Pは,既に私共が報告したヒトPFK-M,ラットPFK-Lの一次構造と約70%の相同性を有し、3つのアイソザイムに共通の祖先遺伝子の存在することが示唆された。ヒトPFK-MとLではエキソンの配置など遺伝子の構造は保存されていたが,このアイソザイム間には転写機構の保存性は認めなかった。既に私共はヒトPFK-M遺伝子でGCボックスを有するdistal promoterが組織分布の広いタイプC mRNAを発現し,一方CAAT,TATAボックス,M-CATモチーフを有するproximal promoterが,骨格筋,心筋に特異的なタイプA/BmRNAを発現することを示している。今回マウスPFK-MにおいてもEcoRI認識部位の有無によって2種のmRNAを証明し,マウスにおいてもヒトと類似の転写機構が保存されることを示した。ラットPFK-L遺伝子上流に,マウスと共通した特徴的な塩基配列を認め、リポーターアッセイによりプロモーター活性を確認した。 ついでPFK遺伝子異常症としてPFK-M欠損症について新たな2家系の遺伝子変異を分析し,世界の8家系中3家系の変異を同定した。その結果,PFK-M遺伝子には,スプライシング異常,ミスセンス変異,フレームシフトなど多様な変異の起りうることを明らかにした。 NIDDMのモデルOLETFラットにおけるインスリン抵抗性の発現機序として,肝糖新生系酵素の発現抑制障害が示唆された。
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