研究課題/領域番号 |
04454562
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
花房 俊昭 大阪大学, 医学部, 助手 (60164886)
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研究分担者 |
宮川 潤一郎 大阪大学, 医学部, 助手
嶺尾 郁夫 大阪大学, 医学部, 助手
河野 典夫 大阪大学, 医学部, 助教授 (30093412)
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キーワード | NODマウス / I型糖尿病 / レトロウイルス / gagタンパク / 膵臓 / RT-PCR / 分子生物学 |
研究概要 |
ヒトI型糖尿病の発症に、ウイルスの関与が報告されてきた。我々はI型糖尿病モデル動物NODマウス膵β細胞内に、電顕にてタイプCレトロウイルス様粒子の存在を発見し、さらに抗レトロウイルス抗体を用いたウェスタンブロッティング法により、group specific antigen(gag)タンパクP30の発現を同定し、報告してきた。今回、同ウイルスの発現と糖尿病発症との関連を分子生物学的手法により解明する目的でウイルスゲノムをクローニングし、病因論的分析を加えた。 雌NODマウス、および対照マウスとしてNONマウス、B10GDマウス、ICRマウス膵を用いた。各マウス膵よりAGPC法にてRNAを抽出し、ファーストストランドcDNAを合成した。C型粒子を形成し得るマウスレトロウイルスのうち塩基配列既知であるモロニー白血病ウイルスおよびAKRマウス白血病ウイルスgagタンパクp30の相同性の高い部分をプライマーとして用い、PCRクローニングを行ったところ、モロニー白血病ウイルス様とAKR白血病ウイルス様の2種類のクローンが得られた。後者について、AKRマウス白血病ウイルスに特異的なプライマーをさらに上流に作製し、RT-PCRを行ったところ、NODマウス特異的にPCR産物が得られた。既知のタイプCレトロウイルスと比較したところ、塩基配列においてはgagタンパクp12の部分の相同性が低く、このウイルスは未知のレトロウイルスであると考えられた。NODマウスゲノム構造の詳細な解析より、同ウイルスは両端にLTR様配列をもち、replication defective virusであること、および、NODマウスゲノムに組み込まれたレトロウイルスが膵で発現していることが確認された。また、本レトロウイルスRNAは、膵島炎の開始する4週齢のNODマウス膵に最も発現量の多いことが確認された。
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