研究概要 |
1,骨吸収発現機構の検討 1)骨吸収促進サイトカインの分子生物学的検出 ATL細胞およびATL株MT2細胞において、骨吸収促進サイトカインとして知られているIL1,PTHγP,IL6,TNF,TGFα,MIP1αのmRNA発現をNorthern blotting法を用いて検出し得た。すなわち、ATL細胞は極めて多種の骨吸収促進因子を産生することによって、高度で高頻度な高Ca血症の発現をみるものと考えられる。IL1、PTHγP、IL6の細胞培養上清中への分泌は確認ずみである。 2)MT2細胞からのPTHγP分泌に対する活性ビタミンDの影響 MT2細胞培養系に1,25(OH)_2D_3を投与した所、細胞増殖は抑御傾向にあったにも拘らず、PTHγP分泌は容量依存性化増加した。この一見、相反する現象発現の原因については検討中である。 2.サイカイン産生におけるCa濃度の影響 我々は、すでにATL細胞の増殖、IL1産生、IL1レセプターの発現が培養液中のCa濃度を異常に高めることによって、むしろ増加し、ATLの高Ca血症におけるIL1を介する悪循環機構を提唱しているが、今回、ATL細胞、MT2細胞培養上清中のCa濃度を上昇させると、4〜8mMという異常Ca高値条件下でPTHγP分泌もむしろ増加するという、IL1と類似の奇異な現象を見出した。 3.ATL患者血中のIL6濃度 ATL患者血中のIL6濃度をEIAキットで測定した所、キャリアーでは全例陰性であり、病勢の進行に応じてIL6は上昇したが、血中Ca値とIL6値との間には明確な相関関係をみとめなかった。
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