研究課題/領域番号 |
04454567
|
研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
江藤 澄哉 産業医科大学, 医学部, 教授 (90010347)
|
研究分担者 |
白川 文彦 産業医科大学, 医学部, 講師 (10158967)
三砂 將裕 産業医科大学, 医学部, 講師 (30157474)
森本 勲夫 産業医科大学, 医学部, 助教授 (80145234)
|
キーワード | 高Ca血症 / ATL / IL-6 / IL-4 / PTHrP / 細胞接着分子 |
研究概要 |
1.IL-6産生に対するIL-4の抑制効果 ATL細胞においてIL-6mRNAの発現すること、培養上清中に分泌されること、さらに血中IL-6は病勢の進行に応じて増加することは、すでに確認ずみである。今回は、この強力な骨吸収促進因子であるIL-6の分泌およびmRNAの発現に対するT-cell tropic factorであるIL-4の影響をATL細胞培養系で検討した。上清中のIL-6分泌はIL-4投与により容量依存性に抑制され、抗IL-4抗体を同時添加することにより、この抑制効果は解除された。mRNA発現もIL-4の添加により著名に抑制された。さらにcytofluorometryにより抗IL-4-レセプター抗体を用いて未刺激ATL細胞表面に多数のIL-4レセプターの存在することを確認した。 以上より、IL-4はATLにおけるIL-6産生の重要な抑制因子であることが判明した。 2.PTHrP産生に対するCa濃度の影響 ATL細胞培養系で4-8mMという異常高Ca濃度条件下で、PTHrP分泌はむしろ増加し、さらにPTHrP-mRNA発現についても同様であり、すでに提唱しているATLの高Ca血症におけるIL-1を介する悪循環機構に加えてCa濃度依存性のPTHrP発現増加というパラクライン機構の存在を確認し得た(IL-1と異なりPTHrPはATLの増殖作用はない)。 3.細胞接着分子の関与 ATL細胞は正常T細胞に比し極めて顕著にICAM-1を発現することみとめた。さらに、骨芽細胞もICAM-1を発現すること、ATL細胞がLFA-1/ICAM-1を介して骨芽細胞と接着すること、この接着により、骨芽細胞がある種の骨吸収促進因子を産生・分泌すること等を確認し得た。 この事実は骨髄内におけるATL細胞と骨芽細胞の接着が高Ca血症発症に関与するという新しい概念を提唱するものと考える。
|