研究分担者 |
下田 和哉 九州大学, 医学部, 医員
大野 裕樹 九州大学, 医学部, 医員
岩崎 浩巳 九州大学, 医学部, 医員
久保田 晃 九州大学, 医学部, 医員
岡村 精一 九州大学, 医学部, 講師 (20136435)
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研究概要 |
ヒトの造血に影響を与えるサイトカインのレセプターに以下の3点を明らかにすることを目的とした.レセプターの正確な分布状態の同定.2.サイトカインによるレセプターのmRNAおよび蛋白発現レベルの調節状況とリガンド反応性.3.CSFレセプター後の増殖能や分化能と関連する刺激伝達物質の同定.これらの初期の目的は研究期間中に達成できたと考えられる. G-CSFやエリスロポエチン(Epo)を蛍光標識したリガンド結合能として検索するフローサイトメトリーによるレセプターの解析法を開発したが,これを用いてCD34陽性細胞中のG-CSFレセプター(G-CSFR)保持細胞の性格を明らかにした.すなわち,造血幹細胞を含む細胞集団CD34陽性細胞をG-CSFRの有無により2群としてFACSソーターで分離回収し,それらの分化能を多種類のサイトカイン存在下にコロニー形成法で検索した.G-CSFR陽性CD34陽性細胞により顆粒球系にcommitした細胞であることを証明した. Stem cell factor(SCF)のレセプターであるc-kitの発現を新鮮白血病細胞およびヒト赤白血病細胞株HELで検索した.新鮮白血病細胞M3には発現せず,M1やM2に多い傾向を認めた.HEL細胞はc-kit高発現細胞と低発現細胞が混在していたが,これはフローサイトメトリーとc-kit mRNAの発現検査で確認された.この現象をcell sorterを用いて解析することにより,これらの細胞は相互に変換できる(reversible transition)ことを発見した. G-CSFにより増殖する白血病細胞株と分化する白血病細胞株を用いて,G-CSF刺激後の増殖刺激の伝達にはJAK1およびJAK2キナーゼが関与し,分化シグナルの伝達にはSYKキナーゼが関与していることを証明した.
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