研究概要 |
Bacteroidaceaeはほとんどの実験動物の大腸内で最優勢菌種として存在するが,その分類ならびに分布についてはほとんど知られていない。そこで本年度は、マウス,ラット,モルモット,ウサギの盲腸内容物よりBacteroidaceaeを分離し,動物種による菌種の違いを検討した。 培養方法は,動物を炭酸ガスで麻酔後,開腹して盲腸内容物を取り出し,ただちに炭酸ガス下で嫌気性希釈液に懸濁して嫌気性グローブボックスに搬入した。TSブロスで10倍段階希釈してSM10寒天培地に接種し,グローブボックス内で4日間培養した。さらに,希釈したTSブロスをグローブボックスの外でEG寒天培地とNBGT寒天培地(選択培地)に接種してスチールウール法で培養した。 その結果,総菌数にしめるBacteroidaceaeの菌数はマウス(BALB/C)で55%,ラット(Wister)で27%,モルモット(Hartley)で36%,ウサギ(NZW)で98%であった。分離したBacteroidaceaeのうちExtremely-Oxygen-SensitiveなBacteroidaceaeのしめる割合は,マウスで45%,ラットで86%,モルモットで85%,ウサギで28%であった。以上の結果から,動物の種類によりBacteroidaceaeのしめる割合が異なるが,ラットとモルモットは比較的類似していた。特に両群ではE-0-SBacteroidaceaeが優勢であった。また,スチールウール法で発育するBacteroidesの菌種を比較したところ,マウスでは93%がBacteroides fragiris groupで,ラットとモルモットでは50%であった。ウサギは現在検討中である。 さらに,マウスでは系統により総菌数にしめるBacteroidaceaeの菌数やE-O-SBacteroidaceaeの割合が異なり,菌種とマウス系統にも違いがみられた。
|