研究概要 |
本研究は,入眠および深睡眠を促進し,快適な睡眠が得られる環境づくりを目的として,おもに冬期における入床時の皮膚温と入眠潜時との関係および睡眠経過について検討し,これまでの研究で得られた夏期・秋期の結果を総合して,質のよい睡眠が得られる温熱条件およびコントロールのあり方を導き出した。 環境条件を冬期の室温として13℃に設定し,女子大学生を被験者として終夜睡眠実験を行った結果,電気毛布で入床時まで予め寝床内を加温した場合と,しない場合とでは入眠および睡眠経過に差が認められ,予め加温した場合のほうが末梢部(とくに足部)の皮膚温上昇が早く,REM睡眠の持続時間も長く,秋期と類似した睡眠経過が得られ,入床時における寝具の加温効果がその後の睡眠経過にも認められた。また,熱流量の測定から室温が低い場合には身体からの熱損失が大きく,コア温(直腸温)の低下が大きくなるという傾向が認められた。 夏期において室温29,30℃の暑熱環境下で,不感気流に近い微気流を頭部または足部に暴露することにより入眠時のコア温下降が促進,低いレベルで安定し,皮膚温は高めに保たれ,微気流による局部冷却は乾性放熱を促進させ,睡眠ステージの安定化も図れた。 冬期における足部の加温,夏期における冷却はいずれも睡眠時の放熱を促進させるために効果があり,この目的に合致した制御機器についての研究が今後の課題である。
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