平成4年度に開始した本研究は3年継続研究の第2年次にあたる。本研究は筋線維組成をスポーツ適性を発見するための重要な手がかりの1つと考え、実験動物を用いて、筋線維組成がどのくらい親から子へ受け継がれていくのかまた、連筋線維の多いスプリンタータイプの筋線維組成を持つ個体を遺伝的に作り出せるかに焦点を絞って実験を開始した。前年度は3つの異る系統のラットのランダム交配によって、基礎集団(G_0)および第1世代(G_1)まで検討したが、引続き本年度はG_3世代まで終了した。その結果(1)一世代あたり1.1%の改良量が得られた。(2)連筋線維構成比の実現遺伝率は0.10が得られた。(3)親子回帰による推定の遺伝率では遺伝的傾向は見られなかった。(4)コントロール集団の変動はほとんど認められなかった。 これらのことから、連筋線維の遺伝的影響は現段階では必ずしも高くないことが示唆された。しかし、G_3世代までの変化では、これらの変化が遺伝によるものか偶然によるものかの判断が難しく、さらに世代を重ねることによって、これらの要因を明確にすることが可能と考え、次年度引続きG_4世代以降について検討したいと考えている。
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