研究課題/領域番号 |
04454589
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研究機関 | 国立公衆衛生院 |
研究代表者 |
内山 巌雄 国立公衆衛生院, 労働衛生学部, 部長 (20151897)
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研究分担者 |
川原 貴 東京大学, 教養学部, 助教授
熊江 隆 国立公衆衛生院, 労働衛生学部, 室長 (40145363)
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キーワード | ラット / 慢性疲労 / 細胞性免疫能 / 運動負荷 / シフトワーク / 臓器重量 / 肺胞マクロファージ / スーパーオキシド |
研究概要 |
本年度は、実験動物として5週令のラットを用い、12週間の観察期間で慢性疲労の細胞性免疫能への影響に関する研究を行なった。慢性疲労のモデルとして、2週間の間隔で明期と暗期を入れ替えた部屋を移動させて時差を与えることにより無侵襲的に睡眠を妨害しつつ運動負荷を与えた群(慢性疲労群)を作成した。運動負荷としては、週5日(最大30m/分/45分間)のトレッドミル走行を行なった。また、慢性疲労群の対照群として、時差により睡眠を妨害しただけの群(Jet Lag群)、運動負荷のみを与えた群(Training群)、及び安静群を作成した。成長に与える影響として体重の変化をみると、6週間後では慢性疲労群は安静群より有意に体重が減少していた。また12週間後ではJet Lag群及びTraining群でも体重の低下傾向がみられ、最終的に体重は安静群>Jet Lag群>Training群>慢性疲労群の順となった。さらに、臓器の重量にも慢性疲労は影響を与えており、心臓や副腎が有意に大きくなっていた。これらの結果はシフトワークに関する研究からも興味がもたれている。これらの成果については第66回日本産業衛生学会総会において報告する。 さらに、気管支肺胞洗浄液中の細胞に及ぼす影響を形態学的及び細胞直径による分類をもとに検討を行なった。その結果、6週間後では慢性疲労群で安静群より有意に肺胞マクロファージ数が減少し、Jet Lag群及びTraining群でも低下傾向がみられた。また、12週間後ではJet Lag群及びTraining群の低下傾向も著しくなり、最終的に肺胞マクロファージ数は安静群》Jet Lag群>Training群≧慢性疲労群の順となった。さらに、肺胞マクロファージからのスーパーオキシドの産生量をみた場合には、6週間後に慢性疲労群では安静群より有意に増強されていた。これらの結果から慢性疲労は、細胞性免疫能に影響を及ぼすことが明らかとなった。これらの成果については第63回日本衛生学会総会において報告する。 現在、多核白血球遊走因子、免疫グロブリン量、補体量等を測定中であり、興味ある知見が得られるものと思われる。これらについては第48回日本体力医学会大会において報告する予定である。
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