炎症細胞表面の糖鏡と糖結合性接着分子

1992 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 04454591
• 研究機関: 東京大学
• 研究代表者: 入村 達郎 東京大学, 薬学部, 教授 (80092146)
• 研究分担者: 山本 一夫 東京大学, 薬学部, 助手 (20174782) ; 辻 勉 東京大学, 薬学部, 助教授 (00143503)
• キーワード: lectin / selectin / carbohydrate / recognition / macrophoge / platelet

研究概要

本年度の成果は以下のようである。ヒトガラクトース/N-アセチルガラクトサミン特異的C-型レクチンのcDNAクローニングに成功した。マウスガラクトース/N-アセチルガラクトサミン特異的C-型レクチンのcDNAの動物細胞における発現に成功した。マウスガラクトース/N-アセチルガラクトサミン特異的C-型レクチンのcDNAの再構成を行なうことによって特定のドメイン(特に今回はロイシンジッパー様ドメインに注目した)を欠落した変異cDNAの作成に成功した。しかし、この変異cDNAは天然型のcDNAと同じ条件で強制発現を試みても、蛋白産物の精製が見られなかった。マウスガラクトース/N-アセチルガラクトサミン特異的C-型レクチンのリコンビナント体の大腸菌による大量調製に成功しこれを不溶化してアフィニティークロマトグラフィー担体とし、既に得られている構造既知の糖ペプチド、オリゴ糖などとの相互作用を比較検討した。その結果、このレクチンが、腫瘍細胞に特徴的な糖鎖構造、特に高分岐型N-リンク型糖鎖及びTn抗原糖鎖に強い親和性を有することを発見した。GMP140(P-セレクチン)の糖結合ドメイン及びEGF様ドメインと補体レセプター様ドメインの一部を含む可溶性分子を、グルタチオントランスフェラーゼとの融合蛋白リコンビナント体として大量に得た。これを用いて、P-セレクチンを表出している活性化血小板による白血球活性化がP-セレクチンを介したものであるのかを試験している。

研究成果

• [文献書誌] Irimura,T.他: "Colorectal cancer metastasis determined by carbohydrate-mediated cell adhesion:Role of sialyl-Le^X antigens." Sem.Cancer Biol.(1993)
• [文献書誌] Dohi,D.F.他: "Regulation of sialomucin production in colon carcinoma cells" J.Biol.Chem. 268. (1993)
• [文献書誌] Konami,Y.他: "Correlation between carbohydrate-bindning specificity and aminoacid sequence of carbohydrate-binding regions of anti-H(O) lectins" FEBS Lett. 304. 129-135 (1992)
• [文献書誌] Kawashima,H.他: "A simple method for the release of asparagihelinked oligosaccharides from a glycoprotein purified by SDS-polyacrylamide gel electrophoresis" J.Biochem.111. 620-622 (1992)
• [文献書誌] Yamamoto,K.他: "Carbohydrate-binding peptides from several anti-H(O) lectins" J.Biochem.111. 436-439 (1992)
• [文献書誌] Konami,K.他: "The primary structure of Cytisus scoporius sead lectin and a carbohydrate-binding peptide" J.Biochem.112. 366-375 (1992)