研究概要 |
本年度の成果は以下のようである。ヒトマクロファージC-型レクチンのcDNAの動物細胞(COS-1)における発現に成功した。その結果,このレクチンがガラクトース/N-アセチルガラクトサミンに特異的で,マウスガラクトース/N-アセチルガラクトサミン特異的C-型レクチンと類似の糖鎖結合特異性を有することが初めて証明された。複数得られていたcDNAの全配列の解析を行ない,これらが特定のドメインの削除または挿入によるものであることを証明した。これらのcDNAを利用して,ヒトマクロファージC-型レクチンのゲノム遺伝子のクローニングに成功した。また,ヒト染色体上の位置を明かにした。 P-セレクチン(GMP140)による白血球の活性化メカニズムを解析するため,スーパーオキシドラジカルの産生を指標にP-セレクチンのカウンターレセプターの探索を行なった。ヒト前骨髄性白血病細胞を好中球様に分化させた細胞の表面では,分子量12万及び24万の糖蛋白性の分子がカウンターレセプターであり,この分子上のセリン/スレオニン結合型の糖鎖が重要な役割を持つことが判明した。また,可溶性リコンビナントP-セレクチンには白血球の活性化能はないが,初期化の刺激を与えた白血球を活性化できることが判明した。
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