研究課題/領域番号 |
04454593
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
川嵜 敏祐 京都大学, 薬学部, 教授 (50025706)
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研究分担者 |
小堤 保則 京都大学, 薬学部, 助教授 (70205425)
伊藤 信行 京都大学, 薬学部, 教授 (10110610)
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キーワード | マクロファージ / レクチン / ガラクトース / 細胞内移行シグナル / チロシンリン酸化 |
研究概要 |
昨年までの研究によりマクロファージのガラクトース・N-アセチルガラクトサミンに特異的なレクチン(M-ASGP-BP)のcDNAを動物細胞の発現ベクターpdKCRに組み込みCOS-1細胞にトランスフェクトすると多量のレクチンが細胞表面に発現することを示している。本年度はこの系を利用することにより次のような研究成果を上げた。 1)細胞内移行シグナルの同定とそのリン酸化:受容体は一般にリガンドを細胞内に取り込むための特殊な構造を細胞内にもつことが知られている。M-ASGP-BPの場合、N-末端より5番目のアミノ酸であるチロシンこれに相当すると推定されたので、チロシンを欠損した変異体およびこれをアラニンやフェニルアラニンに置換した変異体を作製し、それぞれによるリガンドの細胞内移行速度を測定した。その結果このチロシン残基が重要な働きをもつことが明らかと成った。さらに、興味あることにこのチロシン残基は細胞内リン酸化をうけることがチロシンリン酸に特異的な抗体によるウエスタンブロットにより明らかとなった。このリン酸化のもつ意味の解明は今後の課題であるが細胞内移行速度を調節している可能性が考えられる。 2)M-ASGP-BPの糖鎖認識機能の解析:COS-1細胞表面に発現させたM-ASGP-BPとHepG2細胞に発現したヒト肝アシアロ糖タンパク質結合タンパク質の糖鎖認識機構を種々の合成糖ペプチドをリガンドとして詳細に比較検討することにより両レクチンの間には明確な糖鎖認識の相違があることが明らかとなった。この結果は血清糖タンパク質の血液中からの除去を使命とする肝レクチンと免疫担当細胞として異物排除機構に関与するマクロファージレクチン役割の相違を反映したものと考えられた。
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