研究概要 |
申請者らにより腹腔マクロファージに見い出されたガラクトースに特異的なレクチンの遺伝子をSV40プロモータをもつ発現ベクターpdKCRに組み込み、これをリン酸カルシウム法でCOS細胞にトランスフェクトすることにより発現させ、得られた組換えレクチンを用いて次の諸点を明らかにすることができた。まず、本レクチンは42kDaのサブユニットのホモオリゴマーであり、おそらく6量体として細胞表面に存在し、アシアロ糖タンパク質の細胞内への取り込みの受容体として機能することが示された。1個の細胞表面には約5×10^5分子の組換えレクチンが発現し,^<125>I-ASORに対する高い親和性(kd=12nM)を示した。このエンドサイトーシス受容体の細胞内への内在化には、本レクチンのN-末端より5番目に位置するチロシン残基が必須であり、インターリゼーションシグナルとして重要な働きを持つことが示された。また、このチロシン残基はリン酸化をうけることも示された。さらに、COS細胞表面に発現したマクロファージレクチンとヒト肺がん細胞HepG2表面の肝レクチンとの糖結合特異性を比較検討した。マクロファージレクチンはガラクトースに、一方、肝レクチンはN-アセチルガラクトサミンにより高い特異性を示した。両レクチンともに多価リガンドに対して強いクラスター効果を示したが、多価リガンドとこれらレクチンの結合様式にはそれぞれ特徴が見られた。最後に、マクロファージレクチンのゲノム遺伝子構造を解析した。本レクチン遺伝子は10個のエキソンと9個のイントロンより成ることが示され、また、プロモーター領域には本レクチンの発現に関与すると考えられるいくつかのコンセンサスシーケンスが存在することが分かった。
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