研究概要 |
本年度は、これまでに明らかにしてきたグルクロン酸転移酵素遺伝子複合体の構造を基に、各アイソザイムの発現調節の解析を行った。 (1)各アイソザイムのタンパク質レベルでの発現を解析するために、cDNAより推定されるアミノ酸配列から、B1,B2,B5,A1,A2に対して特異的なアミノ酸配列を選びだし、その合成ペプチド(14個)に対する抗体を作製した。また、カルボキシル末端側に対して各アイソザイムに共通な抗体を作製した。これら抗体を用いてアイソザイムの発現を調べたところ、B1は構成的に発現しビリルビン活性をもつ主要なアイソザイムであった。また、クロフィブレートやデキサメタゾンにより2-3倍に誘導された。A1,A2は3-メチルコランスレン(3MC)により強く誘導された。酵素活性も誘導に対応して変動していた。 (2)各アイソザイムは異なる発現調節を受けていることより、各々の第1エクソンの上流にプロモーター/エンハンサー領域が存在ことが強く示唆されてきた。 本年度は特に、3MCにより誘導されるA1アイソザイム(4-ニトロフェノールを基質とする)の発現調節機構の解析を行った。A1の上流には特別のエクソンA1*が存在する。この上流約1.1KbとCATの構造遺伝子からなるキメラプラスミドを作製し、ラット初代培養細胞に導入して3MCに応答するエレメントを解析した。その結果“GCGTG"コア配列が同定された。現在A2,B1,B2,B5の上流の塩基配列と発現調節領域の解析を行っている。また、B1,A1アイソザイムは出生を境に発現の変動がみられた。
|