研究課題/領域番号 |
04454604
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
小野 哲也 東北大学, 医学部, 教授 (00107509)
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研究分担者 |
細井 義夫 東北大学, 医学部, 助手 (50238747)
栗下 昭弘 東北大学, 医学部, 講師 (60201472)
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キーワード | 放射線障害 / 骨髄死 / 腸死 / 免疫賦活剤 / 抗生物質 / ギャップジャンクション |
研究概要 |
生体は放射線による損傷に対しさまざまな形の低抗力を備えている。その中でDNA修復は最も研究の進んでいるものであるが、他にも個体レベルでみられる低抗力として、細胞の活性化や回復、さらには増殖と分化を伴った細胞のリクルートメントなどがあげられている。しかしこの個体レベルでの研究は非常に立ち遅れており細胞の回復と幹細胞の再増殖以外にはほとんど研究されていないのが現状である。最近我々は放射線照射によって損傷が固定された後に生体機能を活性化させることで障害の発現を抑制できるものとしていくつかの物質を見出したので、その作用が何に起因するかを明らかにすることにより個体の備えている新たな低抗力が何であるかを解明し、それを増強させる方法を検討した。 今年度は以下の2点を明らかにした。 (1)OK432の照射後の投与により骨髄死が有意に抑制されるが、その抑制は完壁ではない。そこで照射後のマウスの血中に見出される細菌の調査をしたところOK432はグラム陽性菌の出現を有意に抑制したが陰性菌には余り効果がなかった。そこでこの陰性菌に有効とされる抗生物質Aztreonamの同時投与をしたところ、陰性菌は見出されなくなり骨髄死の割合も低下した。これは放射線の骨髄死に対し免疫力の増強と抗生剤の併用が有効であることを証明したものである。 (2)細胞間コミュニケーションの増強剤といわれるマレイン酸イルソグラジンが小腸上皮幹細胞の放射線による死を抑制することを見出したが、これが本当に細胞間コミュニケーションの増強によるのかどうかを確かめるためフォトブリーチング法の開発を始めた。蛍光色素には5,6-カルボキシフルオレッセインジアセテートがよく、顕微鏡は共焦点レーザー顕微鏡が有用であることを見出したが、定量的な測定のためにはさらにコンピュータ処理によるノイズの低減化が必要である。
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