(1)大腸菌リン酸レギュロンの転写促進因子PhoBが上位タンパクPhoRやPhoMによりリン酸化を受けることにより転写活性型になるということ、即ち、PhoBのリン酸化によりDNA結合能、およびRNAポリメラーゼとの相互作用能の上昇が起こることが判明した。また、PhoR、PhoMはPhoBをリン酸化する時、まず自己自身のヒスチジン残基にリン酸を入れて自己リン酸化することを明らかにした。 (2)アクチベタ-PhoBと転写酵素RNAポリメラーゼとの相互作用を明らかにするため、リン酸レギュロンの発現を特異的に減少させるRNAポリメラーゼ変異体の分離に成功し、その変異部位がRNAポリメラーゼのシグマクロサブユニット上に存在していることを明らかにした。また、部位特異的変異体の作成によってもPhoBとの相互作用点がRNAポリメラーゼのシグマ70サブユニット上に存在することを示唆する結果を得た。 (3)PhoBによって転写が制御される新たな遺伝子phoHの分離に成功し、その遺伝子構造や機能を明らかにした。 (4)PhoBが細胞内小分子であるアセチルホスフェートによりリン酸化されて活性化され転写誘導がおこるという新たな知見を得た。 (5)超熱ショックRNAポリメラーゼのシグマ因子であるシグマ24の細胞内での役割を調べるために、シグマ24欠損株を成功した。この株は高温での生育ができず、シグマ24が高温での細胞の生育に必須であることを明らかにした。 (6)定常期特異的RNAポリメラーゼのシグマ因子であるシグマ38のプロモーター認識の機構を明らかにした。
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