研究概要 |
外国人、特に非漢字圏の学習者の場合、長い期間漢字を学習していても、従来の読み書きテストをすると、ほとんど得点できないことが多い。漢字は、非常に情報量(字形,読み,意味,用法など)の多い文字で、読み書きできるようになるためにはかなりの数の段階を経る必要があると思われる。従って、学習者が経るであろう段階に相当するステップを踏んだ,細目ごとのテストを作成し、学習者の漢字力(習得状況)を診断することができれば、困難点を克服させるための指導につなげられるはずである。そのような目的で、12のテスト細目からなる漢字力テストを作成し、その結果をレーダーチャートに表す方法を開発した。 さらに、完成した漢字力テストをマッキントッシュ・ベースのコンピュータ支援テスト(CAT)の形に実現し、個々の学習者が個別に漢字力の診断が受けられるようにするための調査(学習者・教師双方へのアンケート調査および実験調査)を行い、CATプログラムのインタフェース等の改善を図った。 研究計画では、完成したCATプログラムを外国人学習者に試用させ、試用結果を分析して、テスト問題の内容の改善を図る予定だったが,時間の関係で試用させるところまではいかなかった。今後、筑波大学留学生センターの外国人留学生に試用させ、履歴データの分析を行っていきたい。また、漢字圏学習者の漢字力の実態を探り、効果的な指導を考える上でも本CATプログラムを活用したい。
|